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有期の契約社員の雇止め

平成24年4月24日、4月もあとわずかで終わりになりますが、これからが「労災保険の更新手続き」「社会保険の算定届」が開始される時期となります。

お困りの場合には、是非一度ご相談ください。

本日の判例は、有期契約社員の雇止めについてです。

雇止めについて、明確な例としてみるには、勉強になる判例でした。


(事件概要)

Xは、Yに、平成18年4月から嘱託契約社員として、契約期間9か月とする有期雇用契約で採用(更新)→ 契約期間を1年とする有期契約が合計3回(年棒額)→ 775万円から825万円の範囲で毎年異なっていた。(4度目の契約期間満了以前の同年11月20日)→ Xに対し、有期雇用契約は更新しない旨を通告(同年12月7日)→ 契約を更新しない理由として書面をXに交付 → 本件雇止めの理由を詳細に記載した書面をXに交付して納得を得ようとしたが、Xはその受領を拒否 → 有期の契約社員であった原告Xが、使用者である被告Y社に対し、Yが行った更新拒絶の意思表示はXの雇用継続への合理的な期待を裏切るもの(①②の結論)→ 本件雇止めは有効 → 本件有期雇用契約は平成21年12月31日の経過をもって終了したものというべき
① 地位確認
② 上記更新拒絶の意思表示の後である平成22年1月分以降の未払い賃金などの支払い

労働条件 :平成18年4月当時、契約期間を同年12月31日まで(年棒)→ 800万円(業務内容)→ クリエイティブディレクター(CD)

書面 :CDとしてのプロジェクト遂行力、チーム統括力にかけていること、X の行為に起因する顧客などからのクレームが発生したことなど → Xは業務を遂行する能力が十分ではないと認められる。


(考察)

解雇権濫用法理の類推適用 :本件雇止めに解雇権濫用法理が類推適用されるためには → 本件有期雇用契約による雇用継続に対するXの期待利益に合理性があることが必要 → 合理性の有無

合理性の有無 :総合考慮し、これを決するのが相当(本件)→ 雇用継続に対するXの期待利益に合理性があるとは言い難い。→ 本件雇止めに解雇権濫用の法理を類推適用する余地はない。

①当該雇用の臨時性・常用性 :当初の応募対象であったコピーライターではなく、CDという職種で採用された経緯、Xの年齢など(Yとの雇用契約が長期かつ安定的に継続さえれることに対して)→ それなりの期待を抱いていたことは否定できない(一方)→ CDという職務は、本来常用というよりも、むしろ臨時的な性格を有しているものと認められる。

②更新の回数 :Yは、CDにつき1年ごとの嘱託契約社員向きの業務であると位置づけ(Xに対して)→ その採用面接時はもとより入社直後のオリエンテーション等において、その旨を明確に説明(雇用継続に対する期待利益を抱かせるような言動)→ 形跡はうかがわれない。

③雇用の通算期間 :更新手続きの回数はわずか3回にとどまっている。(通算期間)→ 4年に満たない。

④契約期間管理の状況、雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無 :各契約期間の成果などに関する評価資料に基づき → Xとその上長との間において面談を実施 → これを踏まえて年棒の額などを決定 → Xとの間において有期雇用契約書を取り交わしている。(更新手続の管理)→ 厳格に行われていたものといい得る。
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