職種限定社員の職種変更の有効性
(考察)
職種変更の考え方として、一般的な説明が載っている点において参考になる。
(重要文言)
労働契約が職種限定合意を含むものである場合
労働者の同意がある場合、職種変更をすることは可能であると解される。
一般に職種は労働者の重大な関心事であり、職種変更が通常、給与等、他の契約条件の変更をも伴うものであることに照らすと、労働者の職種変更に係わる同意は、労働者の任意によるものであることを要する。
<職種変更に至る事情及びその後の経緯>
(ア) 労働者が自発的に職種変更を申し出たのか、それとも使用者の働きかけにより不本意ながら同意したのか
(イ) 後者の場合には、労働者が当該職種にとどまることが客観的に困難な状況であったのか
(ウ) 職種変更に同意する合理性の有無
(エ) 職種変更後の状況などを総合考慮して慎重に判断すべきもの
(事件概要)
XがY社との間で、職種をバス運転士とする職種限定合意を含む労働契約を締結
バス運転士以外の職種としての勤務を命ずる事例が発せられ、その後、退職したため、上記職種変更は無効であると主張
賃金差額・退職金さ額および慰謝料、並びにそれらに対する遅延損害金の支払いを求めた。
(判決)
Xに係わる苦情、責任事故及び指定外運行の件数及び内容ならびに本件事故後の所定教育中の状況
Xには、バス運転士として適格性に欠けるところがあったといわざるを得ず、
Y社において、Xについて運行士として乗務させることができないと判断したことには相当の理由があり、
Xが運行士として乗務を継続することは客観的に困難
Xは、職種変更の場合の待遇などを含めて助言を受け、一貫して職種変更の希望を述べていた。
運転士として継続したいが、それが難しいのであれば別の部署で仕事を続けたい旨申し入れた
職種変更の場合の待遇等についても説明を受けた
職種変更を希望する旨回答し、申出書を作成し、職種変更に至った。
異議を申し出ることはなかった。
職種変更の合意を有効としXの請求を棄却した。
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