7か月後の精神障害発症・自殺との業務起因性
(考察)
今回のケースについても、認定基準の例外的な要素を持っており、今後の実務上の対応で気を付けるべき要素であると思う。
(重要文言)
認定基準が発症前概ね6か月のものを検討すべきものとしているのは、精神障害については発病前からさかのぼれば遡るほど出来事と発病との関連性を理解することが困難となるもの
精神障害が発病する前1か月以内に主要なライフイベントのピークが認められること等からすれば、発症前概ね6か月以内の取扱いには相応の合理性は認められる。
しかし
認定基準も概ね6か月としているにとどまり、その前後の出来事を何ら顧慮すべきでないとするものではない。
発症前6か月を超えた出来事により精神障害を発症することがないともいえない。
(事件概要)
Kの妻であるXが、平成17年8月22日自殺したのは業務上の心理的負荷によるものとして、監督署長に対し、労災保険法に基づき遺族補償給付などの請求
不支給処分を受けたことから、Yに取消を求めた。
(判決)
業務により強い心理的負荷を受けた後も一定の業務による心理的負荷を受け、その業務遂行中に本件精神障害が発症し、自殺に至ったものであるとして、業務起因性を認めた。
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