法人格の濫用と従業員の解雇との関係
(考察)
法人格の濫用による場合、雇用関係が事業と一体として承継される場合、解雇と同視すべきである事を考慮する必要がある。
(重要文言)
雇用関係が事業と一体として承継されると評価できる場合に、
事業に元に従事する労働者が事業の譲受人に採用されないことは、事業に従事する労働者にとっては、実質的に解雇されたと同視すべきもの
本件)
Y1の運送事業とは、その目的が概ね同一であり、取引先も同一
Y1は光洋商事から事業用車両の半数以上と什器備品の譲渡を受け、本店所在地、駐車場、給油設備は、光洋商事が従来使用していた場所
Xら組合員を除いたものを全員雇用
不動産の借用についても斡旋し雇用を承継
光洋商事は、運送事業を有機的な一体としてY1に譲渡したというべき
(事件概要)
Xらが、光洋商事の代表取締役であるY2は、Xらの労働組合を壊滅させる目的で、Xらを解雇し、光洋商事の資産、Xらを除く従業員、取引先などを自らが支払するY1社に承継させたが、
Y1は光洋商事とXらとの労働契約を承継した、
または法人格が否認されるとして、
Y1に対し、XらがY1との間で労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、
未払い賃金の支払い等を求め、さらに、Y2に対して不法行為に基づき、損害金各110万円の支払い等を求めた。
(判決)
事業用車両の対価である2,000万円の交付を認める証拠はなく、運送事業を無償で譲渡
什器備品などを無償で引き継ぐなどの優遇は、Y2とY1との強い関係をうかがわせるもの
Y1については独立の経営実態が存在しないというべき
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