認定基準を満たさない場合の業務起因性
(考察)
認定基準に満たされなくても業務起因性を認められる場合はあるとはいっても、今回の判例のようなケースが認められると訴え得のようなイメージができてしまう。
(重要文言)
新認定基準に該当しない事例については当然に相当因果関係が否定されるという論理的な関係にはない。
本件疾病とXの業務との間の相当因果関係の有無を個別具体的に判断すべき
(事件概要)
Xが、業務に起因して、心肺停止、蘇生後低酸素性脳症となったと主張
療養補償給付の支給を請求
処分行政庁は平成21年10月6日付で不支給決定
Xが本件処分の取り消しを求めた。
(判決)
その発症の5日前に上司である総務部長Gから2人きりで数十分にわたり一方的に怒鳴られたこと、
業務の集中期に見積書などの決済拒否をされたこと
組織において勤務する通常の労働者にとって、その態様に照らし、相当に強い緊張をもたらす突発的で異常な事態
当該出来事による強度の精神的負荷がXの有していた血管病変などをその自然の経過を超えて急激に悪化させたことによるもの
本件疾病の発症とXの業務との間の相当因果関係が認められた。
叱責及び決済拒否という出来事から24時間を経過した後に発生したからといって、本件疾病と当該出来事との間の相当因果関係を否定することはできない。
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