安全配慮義務の法的責任の根拠
(考察)
派遣労働者への安全配慮義務に関する認定、また安全配慮義務自体の法的責任の根拠について参考になる判例であると思われる。
(重要文言)
亡Aおよび亡Bに対する安全配慮義務を認めるとともに、派遣労働者であった亡Cについても、業務上の指揮命令権を行使してその労務を管理していた。
YとCは特別な社会的接触関係にあったと認められ、
Yの安全配慮義務を肯定
津波の高さや到達時刻などに関する予想を考慮せずに安全な場所の存否を基準とする避難行動を義務付けるとすれば、
際限のない避難行動を求めれ、
結果的には、事後的に判断して安全であった避難場所への非難が行われない限り義務違反が認められることになりかねない。
より安全な避難場所がある場合にはそこに非難すべき旨の安全配慮義務を課することは、義務者に対して、不確定ないし過大な義務を課することになるから相当とはいえない。
安全配慮義務違反の法的責任を負うには、回避すべき危険に関する具体的な予見可能性が必要である。
(事件概要)
地震による津波に流されて死亡
行方不明となった日最高印及び派遣スタッフ合計12名のうち、A,B,Cの3名の遺族であるXらが、
立地の特殊性に合わせた店舗を設計すべき義務
安全教育を施したものを管理責任者として配置すべき義務
Yが災害対応プランの21年の改正において、津波からの避難場所としては不適切な屋上を避難場所として追加したこと
D支店長において、津波などに関する情報を収集する義務
指定避難場所である堀切山への避難を指示すべき義務をそれぞれ怠ったこと
Dが上記⑥の義務に反して屋上への避難を指示したことを黙認したこと
上記⑥の義務に違反して屋上への避難を指示した後、避難場所を屋上から堀切山に変更する支持を行うべき義務を怠ったこと等
Yの安全配慮義務違反により上記3名が死亡した旨主張
安全配慮義務違反の債務不履行または不法行為による損害賠償請求権に基づき、上記3名から相続した各損害賠償金及びその遅延損害金の支払いを求めた。
(判決)
堀切山と比較して、避難に要する時間が短く、避難する途中で直面する可能性のある危険を回避できると考えられる。
屋上を追加したことには合理性があると認めることができ、安全配慮義務違反があったと認めることはできない。
Xらの控訴を棄却
スポンサーサイト