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付加金の効力について


(考察)
この判例は実に勉強になる。完全歩合給については、最低賃金と最低賃金の時間外・深夜割増賃金部分を加えて支払わなければならないのは当たり前であると思われるので、別段なんとも思わないが、付加金を一審で認められているにもかかわらず、二審までに時間外・深夜割増賃金の支払いを済ませることで、付加金の支払いを逃れている。
こういう考え方があるのかとビックリです。

(重要文言)
労基法37条の趣旨は、
同法の定めた労働時間制を超過する特別な労働に対する労働者への補償
労働時間制の例外をなす時間外・休日労働について割増賃金の経済的負担を使用者に課す
これらの労働を抑制し、もって、労働時間制の原則の維持を図ろうとする趣旨
同乗は強行法規と解され、これに反する合意を使用者と労働者との間でしても無効
その不払いは6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰の対象

完全歩合給の場合、時間外及び深夜勤務を通常勤務と区別せずに取り扱うことになり、
Yの賃金規程では、歩合給が時間外及び深夜割増賃金にかかる増額分を上回るようには規定されていない。

<付加金>
一審で一部認容された時間外・深夜割増賃金及び遅延損が金の全額につき、現実の提供をした。
不服として、Y社が控訴
付加金の支払いを命じた一審の判決後であっても、Yがすでに時間外・深夜割増賃金の支払いを完了している以上、Yに付加金の支払いを命じることはできない。

(事件概要)
Y社との間で嘱託乗務員雇用契約を締結

賃金の内訳は、
① 基準内賃金
② 歩合給
③ 時間外手当
④ 深夜手当
⑤ 歩合割増給(時間外割増給、深夜割増給)
⑥ 休日出勤

歩合給の額を
(各人営業収益-足切額)×0.54
足切額を
基準内賃金、時間外手当及び深夜手当の総和から休業控除を引いた額を0.54で割って算定

実際の賃金総額は
営業収益×0.54に休業控除を行った額

営業成績が同じ場合には賃金が常に同額になる完全歩合制

(訴え)
Yの就業規則、賃金規程に定められた歩合給及び歩合給に対する時間外及び深夜割増賃金の算定方法は労基法37条に違反する部分があり、その限度において無効

(判決)
Yの支給する賃金は、Xらが時間外及び深夜の労働を行った場合において、そのことによって増額されるものではなく、場合によっては歩合給が減額することすらありうる。
本件においては、営業収益に54%ないし55%を乗じた支給金額を、法37条1項所定の「通常の労働時間または労働日の賃金」に当たるものと解するのが相当

時間外・深夜割増賃金を支払う義務がある。
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