団体交渉に関する不当労働行為該当性
(考察)
団体交渉において、話し合いの中に含まれる内容が使用者にとってはかなり大変な作業であると思われる。不法行為と捉えられない状況を作るのが難しく考えられる。
(参考条文)
労組法7条(不当労働行為)使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。
労働組合の要求や主張を聞くだけでなく、
使用者と労働組合との間で合意および妥協点を見出すため、
困難である場合にも、納得を得るため、要求および主張の具体性や労働組合からの追及の程度に応じ、
具体的な論拠を示したうえで合理的な説明を行うなど
誠実に交渉に当たるべき義務を負う
使用者がかかる義務に違反した場合には、同号が禁止する団体交渉の拒否に当たる
個別人事にかかる事項も、特段の事情のない限り、使用者が団体交渉の事項として取り上げるべき義務を負う
不利益な取り扱いをしたといえるためには、
不当労働行為意思を有していたことが必要
決定的な動機が、労働者が労働組合の組合員であること、または労働組合の正当な行為をしたことにあった場合、
不当労働行為意思があったものというべき
(事件概要)
平成15年1月30日 運送請負契約を締結
平成22年2月25日 団体交渉1
解約の理由自体を明らかにしておらず、その理由を明らかにする必要性はないと考えていたもの
22年10月4日頃 解約予告通知書により、同年11月5日をもって契約を解除する旨を通知
平成22年5月末以降 業務委託契約に変更
契約期間の定めがなかったところ新たに有期契約
同年8月10日 1年間とする業務委託契約が締結
契約書には、X社およびFのいずれからでも契約期間中のいつでも、30日前までの書面での予告により、任意に解除できる旨の定め
同年10月25日 団体交渉2
解除するかどうかはX社の方針で決める、具体的な理由を答える必要はないと考えていると述べている
23年8月18日 団体交渉3
総合的に判断した等と説明するのみで、考慮要素などについては全く説明をしていない
労組法上の労働者に当たるという点では当事者間に争いがない。
(判決)
不当労働行為意思を持って本件解除を行ったもの
労組法7条1号の禁止する不利益取り扱いを行ったものというべき
不当労働行為救済命令取り消し請求につき、いずれも適法であるとして退けられた。
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