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季節労働者の更新と雇止めの正当性


(考察)
労働契約法に関して、理解を深めるのに良い判例であると思われる。

(重要文言)
労働契約法19条2号は、期間満了後も継続することに対する期待と、有期労働契約を終了させる使用者の必要性との調整をはかるため、
期待することについて合理的な理由が認められる場合
雇止めすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、
同一の労働条件で有期労働契約の更新または、申込を承諾したものとみなす旨を規定するもの

労働契約法19条2号は、法定更新を定める規定

労働契約法18条2項は、同期間が一定限度内であれば両契約期間を通算することを認めており、
同法19条も、各契約間に全く空白のないことまで求めているものではない

労働契約法19条2号の類推適用をするためには、空白期間は、法定更新によって継続されると法律上評価することができる程度のものにとどまる

(参考条文)
労働契約法19条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
①  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
②  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

労働契約法18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2  当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

(事件概要)
季節労働者として従事していたXが、労働契約締結を拒否
約17年間にわたり、3月下旬から6月中旬、9月下旬から11月下旬までの時季に労働契約を締結
前年から雇用されている作業員が引き続き雇用できることを見込んだ人員配置とか同計画を立案
採用を希望して拒否されたものはほぼおらず
「本契約満了後の再契約は、保障されない」との記載があるが、説明を行ったことはなかった。

(訴え)
不当な更新拒絶である等と主張
労働契約上の地位の確認並びに未払い賃金等の支払いを求めた。

(判決)
一定の季節の一定の期間に業務が終了することが当然に予定されている
長さも一定ではなく、次年度の各有期労働契約の期間を確定的に予定することも困難
各契約期間の間には、3か月、4か月の空白期間があり、各契約期間と同程度ないしそれ以上の長さに及んでいる
各契約の終了時に時期についての始期付き雇用契約が締結されていたとは認められない。

季節労働者であるXの雇止めにつき、合理的期待があるとは認められない。
労働契約法19条2号の類推適用が否定され、取り消された。


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