退職した従業員による時間外割増賃金請求
平成24年5月11日、今日は朝から寒い一日でしたが、仕事については本当に良い日でした。
毎回思うことですが、お客様より自分の仕事に対して感謝をしてもらえることは、何よりもうれしいことです。
本日の判例は、時間外労働に関する判例ですが、内容としては、専門型裁量労働制の効力について気になる点がありました。
当たり前のことですが、全てを任せるのではなく、ある一定の箇所だけを任せていたり、時間に関する縛りをつけていなくても、任せた仕事が休みなくしないと間に合わないような量であれば、裁量労働制の効力はないと考えられます。
(事件概要)
被告Yは、原告X社の立上げの時に誘われ、平成13年5月の成立当初から従業員(平成20年9月)→ 組織変更があり、その頃からカスタマイズ業務について不具合が生じる。(原因)→ YやFのメンバーのミスであることが多かった。→ カスタマイズ業務の質が低下したことで徐々に発注量を減らした。(売上)→ 20年7月の約420万円から12月には約320万円に低下 → 売上の低下について、上司から叱責されることが続き、自責の念に駆られるなど(委員で受診)→「うつ病」と診断(21年3月22日)→ 退職(労災を申請)→ 労災認定され休業補償給付(業務の不適切実施、業務未達など)→ Xは、Yに対して、2,034万余円の損害賠償の支払い → YはXに対して、未払い時間外手当及び付加金の支払い、ならびに不法行為などに基づく損害賠償請求
(考察)
専門型裁量労働制 :平成15年5月20日、労働者の代表としてYとの間で、書面による協定を締結 → 労基署に届け出したが、それ以降は届け出をしていない。→ みなし労働時間を1日8時間(対象者)→「情報システムの分析又は設計」とは(①)→ ニーズの把握、ユーザーの業務分析などに基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定(②)→ 入出力設計、処理手順の設計などのアプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定など(③)→ システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善などの業務をいう。(プログラミングについて)→ その性質上、裁量性の高い業務ではない。→ 専門業務型裁量労働制の対象業務に含まれない。(本件)→ 下請であるXには、システム設計の一部しか発注していない。→ かなりタイトな納期を設定していたことからすると業務遂行の裁量性はかなりなくなっていた。→ Yが行っていた業務は専門業務型裁量労働制の要件を満たしていない。
Yの管理監督者性 :平成19年4月1日に課長 → Fチームの責任者兼担当窓口(課長としての業務)→ 顧客の窓口対応、納品後の不具合対応、プログラミング、詳細設計作業、部下の管理など(労基法41条2号)→ 管理監督者には当たらない。
労基法41条2号 :「監督惜しくは管理の地位にあるもの」
①職務内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め、企業の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか
②その勤務形態が労働時間などに対する規制になじまないものであるか
③給与及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか等の観点から判断すべきもの
労働契約上の義務違反による損害賠償責任 :労働者のミスはもともと企業経営の運営自体に付随、内在化するもの(業務命令内容)→ 使用者が決定するもの → その業務命令の履行に際し発生するものであろうミスは、業務命令自体に内在するもの → 使用者がリスクを負うべきもの → 事業の性格、規模、施設の状況、労働者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防もしくは損害の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし → 損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において → 労働者に対し損害の賠償をすることが出来る。(本件)→ Yに故意または重過失は認められず、売上減少、ノルマ未達などは法相責任・棄権責任の観点から本来的に使用者が負担すべきリスクである。→ Yに対する損害賠償請求は認められない。
時間外手当の額 :労働時間の認定 → Xにはタイムカードが存在しなかった。→ Yが提出した作業日報とそれに基づく労働時間表に記載された労働時間に基づいて、Yの請求する時間外手当の額を認容
付加金 :未払時間外手当と同額の付加金
Xないし代表者の不法行為責任 :不法行為責任を否定
毎回思うことですが、お客様より自分の仕事に対して感謝をしてもらえることは、何よりもうれしいことです。
本日の判例は、時間外労働に関する判例ですが、内容としては、専門型裁量労働制の効力について気になる点がありました。
当たり前のことですが、全てを任せるのではなく、ある一定の箇所だけを任せていたり、時間に関する縛りをつけていなくても、任せた仕事が休みなくしないと間に合わないような量であれば、裁量労働制の効力はないと考えられます。
(事件概要)
被告Yは、原告X社の立上げの時に誘われ、平成13年5月の成立当初から従業員(平成20年9月)→ 組織変更があり、その頃からカスタマイズ業務について不具合が生じる。(原因)→ YやFのメンバーのミスであることが多かった。→ カスタマイズ業務の質が低下したことで徐々に発注量を減らした。(売上)→ 20年7月の約420万円から12月には約320万円に低下 → 売上の低下について、上司から叱責されることが続き、自責の念に駆られるなど(委員で受診)→「うつ病」と診断(21年3月22日)→ 退職(労災を申請)→ 労災認定され休業補償給付(業務の不適切実施、業務未達など)→ Xは、Yに対して、2,034万余円の損害賠償の支払い → YはXに対して、未払い時間外手当及び付加金の支払い、ならびに不法行為などに基づく損害賠償請求
(考察)
専門型裁量労働制 :平成15年5月20日、労働者の代表としてYとの間で、書面による協定を締結 → 労基署に届け出したが、それ以降は届け出をしていない。→ みなし労働時間を1日8時間(対象者)→「情報システムの分析又は設計」とは(①)→ ニーズの把握、ユーザーの業務分析などに基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定(②)→ 入出力設計、処理手順の設計などのアプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定など(③)→ システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善などの業務をいう。(プログラミングについて)→ その性質上、裁量性の高い業務ではない。→ 専門業務型裁量労働制の対象業務に含まれない。(本件)→ 下請であるXには、システム設計の一部しか発注していない。→ かなりタイトな納期を設定していたことからすると業務遂行の裁量性はかなりなくなっていた。→ Yが行っていた業務は専門業務型裁量労働制の要件を満たしていない。
Yの管理監督者性 :平成19年4月1日に課長 → Fチームの責任者兼担当窓口(課長としての業務)→ 顧客の窓口対応、納品後の不具合対応、プログラミング、詳細設計作業、部下の管理など(労基法41条2号)→ 管理監督者には当たらない。
労基法41条2号 :「監督惜しくは管理の地位にあるもの」
①職務内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め、企業の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか
②その勤務形態が労働時間などに対する規制になじまないものであるか
③給与及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか等の観点から判断すべきもの
労働契約上の義務違反による損害賠償責任 :労働者のミスはもともと企業経営の運営自体に付随、内在化するもの(業務命令内容)→ 使用者が決定するもの → その業務命令の履行に際し発生するものであろうミスは、業務命令自体に内在するもの → 使用者がリスクを負うべきもの → 事業の性格、規模、施設の状況、労働者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防もしくは損害の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし → 損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度において → 労働者に対し損害の賠償をすることが出来る。(本件)→ Yに故意または重過失は認められず、売上減少、ノルマ未達などは法相責任・棄権責任の観点から本来的に使用者が負担すべきリスクである。→ Yに対する損害賠償請求は認められない。
時間外手当の額 :労働時間の認定 → Xにはタイムカードが存在しなかった。→ Yが提出した作業日報とそれに基づく労働時間表に記載された労働時間に基づいて、Yの請求する時間外手当の額を認容
付加金 :未払時間外手当と同額の付加金
Xないし代表者の不法行為責任 :不法行為責任を否定
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