短期間雇用を複数雇用主間で繰り返したことによる損害賠償請求
(考察)
今後の期間雇用者の取扱いについて、一つの参考となる判例であると思われる。今後、このような取り扱いが増えるように感じられる。
(重要文言)
各外郭団体の規約や予算、運営の独自性などから法人格否認の法理の適用が否定
黙示の労働契約の成否について、
Xにおいて同期間もYが雇用主であると認識し、Yにおいて同期間もXとの雇用関係があると認識していたなどとは到底言えず、
X・Y間の意思表示の合致が認められないばかりか、任命権者による認容がない以上、法的な雇用契約ないし勤務関係は成立しない。
(事件概要)
Y及び、その外郭団体との間で交互に短期間の雇用を繰り返して勤務
平成18年8月21日から9月25日 Yの交通政策課の臨時的任用職員として雇用
同月26日から10月31日 各外郭団体の一つに、臨時的職員として雇用
25年3月18日に勤務を終えるまで 2か月未満の期間で臨時職員として繰り返し雇用
(主張)
法人格否認の法理などにより一貫してYに雇用されていたと主張
退職手当の支払いを求めるとともに、臨時的任用職員の期間制限や社会保険料の負担を免れる目的で雇用主を名目的に切り替えたと主張
国賠法1条1項に基づき、退職共済年金相当額および慰謝料の支払いを求めた。
(判決)
臨時的職員として2か月程度の間をあけながら繰り返し雇用
臨時職員制度の趣旨に反し、
本件で部分的に職安法や派遣法に反する取扱いがなされていた点
Yには注意義務違反がある
国賠法1条1項に基づく慰謝料請求が一部認容
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