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育児短時間勤務制度利用を理由とした昇給抑制


(考察)
育児介護休業法23条の2に関する説明文のような条文であり、参考になる。昇給に関する不利益の考え方についても参考になる判例であると思われる。

(重要文言)
育児・介護休業法23条の2の規定は、同法の目的及び基本理念を実現するためにこれに反する事業主による措置を禁止する強行規定として設けられたものと解するのが相当

不利益な取り扱いをすることが同条に違反しないと認めるに足りる合理的な特段の事情が存しない限り、同条に違反するものとして違法であり、無効

育児・介護休業法23条の2の規定は強行規定である。

不十分な利益を与える部分が併存するとき、この利益を与える部分を含めて全部無効とすれば、労働者は不十分な利益すら失ってしまう。

解雇、降格、減給などの作為による不利益取り扱いをする場合に、禁止規定としてこれらの行為を向こうとする効果を持つのは当然
しかし、本来与えられるべき利益を与えないという不作為の形の場合、必要な請求権を与え、あるいは法律関係を新たに形成ないし行政する効力までをも持つものとは、その文言に照らし解することができない。

過去の法律関係については、確認の利益に欠ける。

(重要条文)
育児・介護休業法第23条の2 事業主は、労働者が前条の規定による申出をし、又は同条の規定により当該労働者に措置が講じられたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

(参考)
強行法規(きょうこうほうき)とは、法令の規定のうちで、それに反する当事者間の合意の如何を問わずに適用される規定をいう。 強行規定ともいう。 契約などによって変更することが認められている規定をいう「任意法規(任意規定ともいう)」と対になる用語である。 強行法規に反する契約などの合意は法律行為として無効となる。

「行為」のうち、動静の「動」が作為、「静」が不作為と呼ばれます。
不作為の例としては、赤ちゃんが泣いているのにミルクをあげない、人をはねてしまったのに救助しない、といったものがあげられます。
これに対して、作為の例としては、契約書にサインをする、ナイフで人を刺す、といったものがあげられます。

(判決)
本件昇給抑制にかかる行為を無効とは解さない。

昇給の事実がないため労働契約に基づく賃金請求権として請求することはできないが、
不法行為に基づく損害賠償として差額賃金相当分の支払い及び慰謝料の請求が認められた。

不法行為による財産的な利益を侵害されたことに基づく損害賠償の請求にあっては、
財産的損害が填補され回復することにより精神的苦痛も慰謝され回復するものというべきであるが、
本件昇給抑制は、翌年度以降も抑制された号棒を前提に昇給するもの
不利益が退職するまで継続し続けるだけでなく、退職金の金額の算定方法によっては、退職金額にも不利益が及ぶ可能性
あらかじめ補填を受け回復することができない。
財産的損害とは別に慰謝料10万円が認められる。
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