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人事制度変更に伴う不利益変更の有効性

(考察)
不利益変更では珍しく合理性が認められている。結局のところ、従業員も会社の運営決定に巻き込んで長い時間を掛けて、話し合うしかないという感じに思われる。

(重要文言)
<重要な権利に不利益を及ぼすこととなってもやむを得ない高度の必要性>
解雇や整理解雇は、従業員に大きな影響を及ぼすもの
Yの性質からすれば、人件費の支出が大きな割合を占める
定期昇給の停止や手当削減などの一時的な対策のみでは経営状態を改善する効果は限定的であるといわざるを得ず
本件変更には、労働者の退職金などという重要な権利に不利益を及ぼすこととなってもやむを得ない

<代替措置>
一定の激変緩和措置を設けている
職群資格を設けたことが一定の代償措置と評価できる
Yにおける退職金の支給率及び基礎となる基本給の額は、大阪府という同一地域内において高いものとなっている
変更後の内容は相当なものといえる

<交渉・説明>
本件組合などとの交渉・説明も行われてきており、その態度も誠実なものであるといえる
要求を受けて資料を開示するなどしていたほか、
交渉においても、新人事制度が所与のものであって、変更の余地がないというような強硬な態度をとることなく
平成24年度の賞与の支給、昇給の延伸及び激変緩和措置などに関する要求を受けて、従前提案していた制度から変更する
突如として本件変更の必要性があることを説明したものではなく、
以前から、複数回にわたって新人事制度導入の必要性やその内容について説明を行っていたと評価することができ、
Y期連続赤字という経営状態であっても、直ちに昇給を停止するなどの措置を講じるのではなく、
従前の給与規則に基づいて賃金の支払を継続してきた
柔軟な対応をとっていたと評価することが出来る

(訴え)
Y法人において、新人事制度が施行され就業規則が変更されたことで退職金が減額となった原告Xらが、変更前の規則に基づく退職金と既払退職金との差額及び遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
変更は合理的なものと認められる
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