整理解雇の有効性
平成24年5月17日、今日は本当に暑くて、仕事をするのが辛かったあ。
今回の判例は、整理解雇の有効性についてです。
毎回の事ながら、四要件を満たしていることが必要であり、今回もこの要件について確認の上で、合理性なしと判断されています。
(事件概要)
平成22年3月時点の従業員数は600人余、そのうち東播工場勤務者85名(平成21年頃)→ 大規模開発プロジェクトの減少、大型公共工事の縮減、海外からの受注減など → 生産量が最盛期の20%程度に低下(21年12月末)→ X1に整理解雇を通告したことを契機に、組合分会が結成 → 分会からの労働協約締結や賃上げなどに関する団交要求に応じたものの、労働協約締結を拒否(平成22年2月)→ 主要取引先である2社からの新規発注が途絶えた。(平成23年1月)→ 生産量はかなり減少し、3月末で休止することを通告(希望退職募集した結果)→ 分会組合員21名、非組合員12名が退職し、さらに数名が退職(団交を要求)→ Yが団交に応じなかったため、労委へのあっせん申請、救済申し立て(結果)→ 3月になって団交に応じ、数度の団交(同年6月25日付)→ Yは解雇を譲らず、工場の保全と事後管理のための人員を除く28名に対して、就業規則に基づき、本件整理解雇を行った。→ 工場の操業停止を理由に債務者Y社を整理解雇された債権者(X1からX22)が、解雇無効を主張 → 地位保全仮処分及び本案一審判決言い渡しまでの間の賃金仮払い仮処分を求めた。(結論)→ 本件整理解雇を無効として、賃金仮払いを命じる。(退職金が振り込まれているとしても)→ 解雇の効力が争われている以上は用いることが出来ない建前 → その受領をもって保全の必要性を否定することはできない。(地位保全処分)→ 仮処分が任意の履行に期待するため実効性に乏しい。→ 雇用契約上の地位が国内滞在の要件となる外国人の場合や、技能低下など、特段の事情がない限りはその保全の必要性は認めがたいとして却下
(考察)
整理解雇の有効性 :労働者側に帰責事由がない一方、終身雇用を前提とする我が国の企業において整理解雇回避のための相応の努力をせず解雇することは信義則に反する。→ 整理解雇が合理的なものとして有効とされる。(整理解雇の4要件ないし要素)→ 人員削減の必要性があったかどうか、使用者が解雇回避努力を尽くしたかどうか、解雇の対象者の人選が合理的なものであるのかどうか、解雇の手続きが相当であるかどうかなどの観点から、慎重に検討する必要がある。(総合的に考慮)→ 労働契約法16条により解雇は無効 → 毎月の賃金仮払いを命じる。
① 人員削減の必要性 :Yは現に赤字で、それが継続する見込みを踏まえた創業の停止の判断 → 高度の経営上の必要性ないし合理的な運営上の必要性に基づくもの → 人員削減の必要性それ自体は認められる。
② 解雇回避努力 :Yが工場での社外工の削減、休業の実施、新規採用の取止め、希望退職者の募集を行った。(解雇対象者)→ 他部門から受け入れ不能という回答があった。→ 配点可能性を全く否定するものかどうかは疑問の余地がある。(個別的に)→ 配点の希望の聴取や具体的な配転交渉が行われた形跡がないうえ、個々の労働者にあらかじめ整理解雇基準を説明し、配転先の打診などをきめ細かく行うことが必要 → 組合側の拒否により不可能絵であったという事情も明確に認められない。→ 解雇回避努力が尽くされたとは言い難い。(加えて)→ 一部非常勤ではあるものの9名の社外工を残している。(工場以外)→ 新規採用を行っている。(給与や賞与面)→ 経費削減が行われているか疑問の余地がある。
③ 人選の合理性 :余剰人員を企業の再建という観点から削減するために行われる解雇である。(整理解雇の対象)→ 企業の再建にとって必要な人材かどうかという相対的判断によって行う。→ 残留者の人選基準が明示されたとは言い難い。→ 合理性が十分に裏付けられたとはいえない。
④ 解雇手続きの相当性 :十分に協議する義務(しかし)→ 誠実な交渉や譲歩もなく進め、その間、解雇対象者の個別な配転可能性を具体的に検討することもなく解雇に至った。(一定の情報を開示し、団交に応じたとしても)→ 解雇対象者ないし組合との間で誠実に協議・説明をなしたものとは評価できない。
今回の判例は、整理解雇の有効性についてです。
毎回の事ながら、四要件を満たしていることが必要であり、今回もこの要件について確認の上で、合理性なしと判断されています。
(事件概要)
平成22年3月時点の従業員数は600人余、そのうち東播工場勤務者85名(平成21年頃)→ 大規模開発プロジェクトの減少、大型公共工事の縮減、海外からの受注減など → 生産量が最盛期の20%程度に低下(21年12月末)→ X1に整理解雇を通告したことを契機に、組合分会が結成 → 分会からの労働協約締結や賃上げなどに関する団交要求に応じたものの、労働協約締結を拒否(平成22年2月)→ 主要取引先である2社からの新規発注が途絶えた。(平成23年1月)→ 生産量はかなり減少し、3月末で休止することを通告(希望退職募集した結果)→ 分会組合員21名、非組合員12名が退職し、さらに数名が退職(団交を要求)→ Yが団交に応じなかったため、労委へのあっせん申請、救済申し立て(結果)→ 3月になって団交に応じ、数度の団交(同年6月25日付)→ Yは解雇を譲らず、工場の保全と事後管理のための人員を除く28名に対して、就業規則に基づき、本件整理解雇を行った。→ 工場の操業停止を理由に債務者Y社を整理解雇された債権者(X1からX22)が、解雇無効を主張 → 地位保全仮処分及び本案一審判決言い渡しまでの間の賃金仮払い仮処分を求めた。(結論)→ 本件整理解雇を無効として、賃金仮払いを命じる。(退職金が振り込まれているとしても)→ 解雇の効力が争われている以上は用いることが出来ない建前 → その受領をもって保全の必要性を否定することはできない。(地位保全処分)→ 仮処分が任意の履行に期待するため実効性に乏しい。→ 雇用契約上の地位が国内滞在の要件となる外国人の場合や、技能低下など、特段の事情がない限りはその保全の必要性は認めがたいとして却下
(考察)
整理解雇の有効性 :労働者側に帰責事由がない一方、終身雇用を前提とする我が国の企業において整理解雇回避のための相応の努力をせず解雇することは信義則に反する。→ 整理解雇が合理的なものとして有効とされる。(整理解雇の4要件ないし要素)→ 人員削減の必要性があったかどうか、使用者が解雇回避努力を尽くしたかどうか、解雇の対象者の人選が合理的なものであるのかどうか、解雇の手続きが相当であるかどうかなどの観点から、慎重に検討する必要がある。(総合的に考慮)→ 労働契約法16条により解雇は無効 → 毎月の賃金仮払いを命じる。
① 人員削減の必要性 :Yは現に赤字で、それが継続する見込みを踏まえた創業の停止の判断 → 高度の経営上の必要性ないし合理的な運営上の必要性に基づくもの → 人員削減の必要性それ自体は認められる。
② 解雇回避努力 :Yが工場での社外工の削減、休業の実施、新規採用の取止め、希望退職者の募集を行った。(解雇対象者)→ 他部門から受け入れ不能という回答があった。→ 配点可能性を全く否定するものかどうかは疑問の余地がある。(個別的に)→ 配点の希望の聴取や具体的な配転交渉が行われた形跡がないうえ、個々の労働者にあらかじめ整理解雇基準を説明し、配転先の打診などをきめ細かく行うことが必要 → 組合側の拒否により不可能絵であったという事情も明確に認められない。→ 解雇回避努力が尽くされたとは言い難い。(加えて)→ 一部非常勤ではあるものの9名の社外工を残している。(工場以外)→ 新規採用を行っている。(給与や賞与面)→ 経費削減が行われているか疑問の余地がある。
③ 人選の合理性 :余剰人員を企業の再建という観点から削減するために行われる解雇である。(整理解雇の対象)→ 企業の再建にとって必要な人材かどうかという相対的判断によって行う。→ 残留者の人選基準が明示されたとは言い難い。→ 合理性が十分に裏付けられたとはいえない。
④ 解雇手続きの相当性 :十分に協議する義務(しかし)→ 誠実な交渉や譲歩もなく進め、その間、解雇対象者の個別な配転可能性を具体的に検討することもなく解雇に至った。(一定の情報を開示し、団交に応じたとしても)→ 解雇対象者ないし組合との間で誠実に協議・説明をなしたものとは評価できない。
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