内部告発に対する懲戒解雇の有効性
(考察)
従業員の内部告発に対する考え方を示した一つの参考判例であると思われる。
(重要文言)
<告訴>
Yの社会的評価の毀損をもたらすもの
Yの事業活動に支障を来すおそれもある
告訴事実がないことを容易に認識し得たにも関わらず、Xが行った本件告訴は、非違行為
就業規則の「学園の秩序を乱し、学園の名誉又は信用を害したとき」に当たる
<公益通報後の懲戒解雇>
報復の可能性を否定できない
Yの社会的評価が大きく毀損されてはいない
懲戒解雇より緩やかな処分を選択したうえで、指導することも十分に可能であった
懲戒解雇は重きに失する
<地位保全>
Xは、教育・研究活動に従事する者
Yの教職員の地位を離れては、Xの教育・研究活動に著しい支障が生じることは明らか
Yとの間で、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めなければ、Xに回復しがたい著しい損害が生じる
地位保全を認めた仮処分命令が維持
(訴え)
Y学園から懲戒解雇されたXが、Y学園に対し、
懲戒解雇が無効であると主張
労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めることの仮処分命令の申し立てをした。
XがYに対して、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める旨の仮処分決定をした地位保全仮処分命令事件
本件仮処分決定を認可する旨の決定をした保全異議申立事件に対して、Yが両決定の取消しを請求
(判決)
本決定は、Xの仮処分申立を認容し、本件仮処分決定を認可した原決定は相当である。
Y学園の本件抗告を棄却
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