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従業員死亡の業務起因性


(考察)
認定基準を基準としてとらえ、満たないことが業務起因性を認める余地がない事までを意味しないという考え方は参考になる。
(重要文言)
 労災保険法の業務上疾病といえるためには、業務と疾病との間に相当因果関係が認められなければならない
 相当因果関係があるというためにはその疾病が当該業務に内在する危険が現実化したものと評価し得る必要があること
 その評価は当該労働者と同種の平均的労働者を基準とすべきこと
 発症の基礎となる血管病変などがその自然的経過を超えて著しく悪化し発症した場合は、相当因果関係を認めるのが相当

認定基準は、業務の過重性の評価を適正、迅速に行うために設定されたものであって、その基準を満たせば業務起因性を肯定しうるに過ぎず、その基準に満たないことが業務起因性を認める余地がない事までを意味するものではない

(事件概要)
虚血性心疾患により死亡したKの配偶者であるXが、Yに対し、Kの死亡は過重な業務に起因するとして、半田労働基準監督署長による遺族補償給付などの不支給処分の取消を求めた。

(判決)
Kの死亡と長時間労働との相当因果関係の有無を判断する上では、発症前1か月間の時間外労働時間が最も考慮すべき要因
発症前1か月間の時間外労働時間は少なくとも85時間48分であり、この時間外労働時間数だけでも、脳・心臓疾患に対する影響が発現する程度の過重な労働付加であるという事が出来る。
Kは、過重な時間外労働を余儀なくされ、それにうつ病による早期覚醒の症状が加わって更に睡眠時間が1日5時間に達しない程度にまで減少したことにより、血管病変などがその自然経過を超えて著しく増悪し、その結果心停止に至ったものと認められ、相当因果関係を認めることができる。
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