休憩時間、仮眠時間、業務の準備行為等に対する時間外労働の可否
(考察)
仮眠時間、休憩時間については、当たり前のことを言っているようで、かなり厳しい文言であると思われる。着替えについては、防塵服などではない普通の制服への着替えについても必要であるという、今後の就業規則の作成で覚えておいた方が良いと思われる。
(重要文言)
<不活動時間にかかる判断基準>
労基法上の労働時間に該当するか否かは、
労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる。
実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということは出来ず、
労働から離れる事を保障されて初めて指揮命令下に置かれていないと評価でき、
労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たる。
労働契約上の薬務の提供が義務付けられていると評価される場合、
使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当
<業務の準備行為等>
業務の準備行為等を事業所内において行う事を使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、
特段の事情がない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、
当該行為に要した時間は、社会通念上必要と認められるものである限り、労基法上の労働時間に該当すると解される。
<配置転換>
業務上の必要性との比較において、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるか否か
給与の手取り額の減少は認められるものの、時間外労働及び深夜労働の減少という利益を享受している。
不利益は業務内容の変更に伴い反射的に生じるものにとどまり、不法行為を構成するものでもない。
(事件概要)
Y社の従業員であるXが、平成25年4月から27年5月までの時間外労働に対する割増賃金及び、その遅延損害金、
労基法114条に基づく付加金とその遅延損害金、
Xに対する配転命令・業務命令がパワーハラスメントなどに当たる事による損害賠償(500万円)及び、その遅延損害金の支払いを求めた。
(判決)
仮眠時間の間も防災センターを離れることが許されていなかった
寝巻に着替えて仮眠をとることもなかった
8か月間に仮眠時間中に緊急対応のため出動したことが少なくとも4回
休憩時間についても実際には機器類の発報等があった場合には即応することが求められていた
休憩時間については、出動が皆無であったが、休憩時間が短かったこと、実質的に義務付けがされていないと認めることができるような事情が存するという事はできない
不活動時間について
① 警備員に交付されていた手帳の記載内容
② 侵入事案対応訓練の内容
③ 発報時および震度3以上の地震があった場合には基本的に仮眠者を起こして対応するといった運用
④ 休憩時間に防災センターを離れる場合には所在を明確にする旨の記載
⑤ 防災センターを離れる警備員は、防災センターにいる警備員と連絡が取れる状態を確保する
労働契約に基づく義務として、近辺における待機と発報などに対して直ちに相当の対応をすることが義務付けられていた。
実際に仮眠中に発報に対する対応を求められたことが少なくとも2回
深夜の発砲が少なくとも3回
対応を求められる可能性が著しく乏しい状況にあったという事が出来ない
従事する必要が生じることが皆無に等しい状況にあったとまでいうことは出来ない。
労基法上の労働時間に当たる。
<準備行為等>
警備員は全員制服を着用して朝礼に出席することを義務付けられていた
制服の行為を事業場内で行うべきとされていた
朝礼に要する時間25分、
着替えに要する時間10分
1日当たり35分が労基法上の労働時間に当たる。
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