経営悪化に伴う分限免職・給料表廃止
平成14年度以降 赤字経営
19年度以降 医業収入に対する人件費の割合が100%を超える
20年度以降 内部留保金が尽き、一般会計(租税を財源として、政府の一般的な収入と支出を経理する会計)からの繰入が行われていた。
その額は市の決算額の約2.5%に達していた。
平成20年 指定管理者(期間を定めて公の施設の管理運営を包括的に代行)として、Y市も出資して訴外医療法人A会が立ち上げられた。
平成22年4月 Y市が周桑病院の運営を指定管理者制度に移行
Y市は、指定管理者制度導入に伴い、医療部門関係職員151人全員を分限免職とする方針を決定
職員への説明会や労働組合との交渉も経たうえで、
他病院への就職あっせんを行うこと
希望する者全員を分限免職の翌日に市長部局で任用
市長部局任用を希望したXらを含む47名は市長部局給料表の適用を受けるようになり、1から3割程度の給与減額
(訴え)
配置換えによって任用したならば、市職員の初任給、昇給、昇格などに関する各規定が適用ないし準用される
給与の定価が抑えられる
分限免職とした点で職員の身分保障への配慮を欠いており裁量権の逸脱・濫用がある
Y市長がXらに行った分限免職処分(個人の責任は問わない。民間の解雇に相当)の取消
従前適用されていた職員の給与に関する規程の定める給与表をY市が廃止した処分の取消
(条文)
地方公務員法24条1項(職務給の原則)
職員の給与がその職務と責任に応ずるものでなければならない。
1割ないし3割減というXらの給与上の不利益は、許容し得ないものであるとまではいえない。
地方公務員法28条(降任、免職、休職等)1項
その意に反して、これを降任、免職できる。
4号 職制もしくは定数の改廃又は予算の減少により、廃職又は過員を生じる場合
裁量権の逸脱・濫用があれば違法となること
その場合の裁判所の審査権は、違法性を有するかどうかという範囲に限られ、このような違法の程度に至らない判断の当不当には及ばない
(結論)
配置換えによる任用も分限免職後の任用も適用される給料表は変わらないこと
本件各処分は実質的に降任に近く、「公務員としての地位を失わせる通常の分限免職処分とは異なる」
任用後の減給による不利益は許容し得ないものであるとまではいえないこと
本件各処分および本件給料表廃止処分の取消請求は理由がないとして、Xらの控訴を棄却
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