リハビリ勤務中止後の休職満了による解雇の有効性
考察)休職に関する考え方で参考になる。
復職の検討としては、通常業務を想定した作業付加の元で勤怠がきっちりとできること
リハビリ勤務では、作業の成果や責任などを求めなければ、会社の指示に従わせること自体は当然であり、問題ない。
Xは、うつ病を理由に
20年2月25日から同年6月24日まで 傷病欠勤
20年6月25日から22年10月31日まで 傷病休職(22年2月25日から無給休職)
22年5月12日から テスト出局
22年11月1日 復職
うつ病に起因するとみられる頭痛又は体調不良を理由に
23年8月19日、同月25日及び26日 傷病欠勤
うつ病が再発したことを理由に
23年9月12日から24年1月13日まで 傷病欠勤
24年1月16日から 傷病休職
25年4月8日から テスト出局
25年7月26日 テスト出局が中止
25年9月16日から 無給休職
26年9月22日から テスト出局
26年12月19日 中止
27年4月15日 休職期間が満了し、解職
就業規則では、
傷病欠勤が4カ月を超えた場合には休職
休職期間の延長に関する規定
休職期間が満了した際には解職
4カ月の傷病欠勤中は賃金の95%
それに続く1年8カ月の傷病休職期間には90又は95%
その後の1年6カ月は無給
4カ月を超えた休職者には産業医が認定した場合に限り、復職を命ずる。
テスト出局制度
職場のメンタルヘルスケアガイドに詳細な定めがあり、リハビリを行うに当たってYが場を提供するもの
業務ではなく、リハビリの一環として位置づけられている。
同期間満了前に精神疾患が治癒していたと主張
解職が無効
労働契約上の権利を有する地位の確認
テスト出局開始以後の賃金及びこれに対する遅延損害金を請求
判決)
テスト出局は、傷病休職中の職員に対する健康配慮義務(労働契約法5条)に基づく職場復帰援助措置義務の考え方を背景に、Yが制度化したもの
労働契約法5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
その内容として、労働契約上の労務の提供と同水準又はそれに近い水準の労務の提供を求めることは制度上予定されていない。
原則24週間のプログラムで、後半12週間はフルタイムの出局をすることになっており、管理職がその管理監督を行うことを指摘
主治医による復職可能との判断を前提にし、段階的に出局時間を長くし、作業負荷を増加させて通常勤務に近づけていくこと自体は合理的
最後の2週間は職場の実態に合わせて通常業務を想定した作業を行うこととされている
テスト出局のほとんどの期間の作業内容は軽度のものが想定されており、職員、管理職及び産業医の3者で協議して決定・変更するもの
<復職の検討を行う状況の目安>
疾病の完治が条件ではなく、
通常業務を想定した作業負荷の元において、無断で遅刻、退勤、欠勤することなく、通勤を含めて安全に実施されていること
制度上、作業の成果や責任などが求められているとは認められない。
管理職の指示に従うこと自体は当然
テスト出局中にXが行った作業が、労働契約上の労務の提供といえるようなものとは認められない。
テスト出局の中止や解職に違法性があると主張
不法行為に基づく損害賠償などを請求
判決)
対人関係を含めた日常生活上のストレス負荷に端を発した側面が大きいと考えられる。
テスト出局において定められた出退局時刻を守って出局することは、精神科領域の疾患に罹患した職員が復職するためのステップとして重要
平成26年12月18日にXの精神状態ないし健康状態が悪化し、同月19日も状態が回復していなかった
テスト出局を中止したことに違法な点はない事等を指摘
Xの地位確認及び賃金請求はその前提を欠き、不法行為も認められない。
スポンサーサイト