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契約期間満了による雇止めの有効性


(考察)
今回の判例とは異なる考え方として、慣習により成否を考えている判例も存在しています。
再任用の手続き :業績評価、面接等の審査、教員審議会及び人事委員会の審査(慣習)→ 任期満了によって退職している教員も存在している。→ 形式的であったということは出来ない。(ノースアジア大学(仮処分)事件)
雇止め法理を制定法化した労働契約法19条は、あくまで「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件」での契約の更新を認めるに過ぎない。
 労働契約法19条 :次の各号のいずれかに該当する場合、契約期間が満了するまでもしくは、満了後遅滞なく締結の申込みをした場合であって、拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、同一の労働条件で承諾したものとみなす。
① 過去に反復更新されたことがあるものであって、更新しないことが期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることと社会通念上同視できると認められること
② 更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること

(本文)
平成20年4月1日 Yとの間で契約期間を25年3月31日までとして労働契約を締結
B学部助教として就業
助教としての契約については更新が予定されていなかった
准教授に採用(昇任)された者については、新たに期間の定めのない労働契約が締結
平成24年3月まで 査読済み論文3本を公刊しており、同年度に昇任審査を受けた。
同年11月7日 研究業績が不十分であることなどを理由として、昇任候補としないことが満場一致で決定
平成25年3月31日 助教の任期が満了し、労働契約は終了

Y法人の助教であったXが、Y法人の各規程を踏まえ、助教が査読済み論文を3本以上公刊していれば、原則准教授として採用されるべき
准教授としての労働契約上の地位を有すると主張
① 主位的に、Yに対し准教授として労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
平成25年4月以降の賃金などの支払いを求める。
② 予備的に、YがXの准教授としての雇用継続の期待権を侵害した等として、債務不履行又は不不行為に基づく損害賠償請求

(判決)
准教授としての地位は、任命権者からの辞令の交付及び准教授としての新たな労働契約の締結があって初めてその地位を取得することができる。
原告Xもこれを前提として、Y法人との間で助教としての有期労働契約を締結したものといえる。
Xが准教授としての労働契約上の地位を取得したと認めることは困難
Y法人の債務不履行責任を否定している。


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