うつ病羅患・自殺と業務起因性
平成24年5月27日、本日はお客様のコンペでゴルフをしてきました。
結果は、下位から3番目でしたが、良い運動が出来き、楽しかったです。
今回の判例は、業務起因性であり、結局のところは業務起因性を認める結果となるのですが、相当因果関係の判断基準として、社会通念上、精神疾患を発症させる一定以上の危険性の有無、同種労働者の中でその性格傾向が最も脆弱である者を基準とするのが相当というところに、若干疑問はできるが、今のところ、これに従わないといけないのだと思います。
(事件概要)
本件は、原告Xが、Xの子でありJ小学校に勤務する教員であった亡Kが自殺したのは、上記教員としての過重な公務によりうつ病に羅患し、引き続く公務による過重な心理的負荷によりうつ病を増悪させたことによって引き起こされたものであると主張(地方公務員災害補償基金(Y)静岡県支部長に対し)→ 亡Kの相続人として地方公務員災害補償法に基づく公務災害の認定を請求(平成18年8月21日)→ 公務外の災害であると認定する処分 → 被告Yに対し、同処分の取り消しを求めた。
勤務状況 :おおよそ午前7時に出勤し、授業準備を行い、午前8時頃から教室で授業などを行った後(午後5時頃)→ 職員室に戻り、午後6時ないし7時頃には帰宅
質的起因性 :児童Nを中心として、いじめ、カンニング等のトラブルがたびたび発生 → 授業も騒がしく、亡Kは、初任者研修資料に、「私が話していたり、だれかの発表中に大きな声で話し始める子が数人いて、その子たちが黙るまで待つようにしたら、ほとんど授業が進まなかった」「私の注意はほとんど聞かず、大騒ぎが続いて、どうしたらいいかわからない。疲れきった」等と記載 → A教論から、教室内で騒いでいる児童がいたにもかかわらずそれを注意しなかったことを指摘 →「給料もらっているんだろう、アルバイトじゃないんだぞ、ちゃんと働け」などと叱責 → Nを中心とするトラブルは終息することはない。(平成16年9月21日)→ Nが他の児童の腕を噛み、それに対して亡Kが噛まれた児童の母親に電話をするという対処(同月28日)→ 亡Kは、児童Nの母親から、「Nの事ですが、4年生になってから、頻繁に先生から電話をもらうようになりこちらも精神的に参っています」「先生はちゃんと子供の話を聞いていますか?」「先生の方も過剰に反応しすぎだと思います。もう少し先生が厳しく子供たちに接して頂きたいです」「今のままの状態では学校へ通わせることを考えなければなりません」と記載された手紙を受け取った。(翌日の同月29日午前5時頃)→ 駐車場に停車した自家用車内に火を付け、焼身自殺
(考察)
相当因果関係 :単に公務が他の原因と共働して精神疾患を発症または増悪させた原因であると認められるだけでは足りず、当該公務自体が、社会通念上、当該精神疾患を発症または増悪させる一定程度以上の危険性を内在または随伴していることが必要(判決)→ 業務とうつ病発症、増悪との相当因果関係の存否を判断(うつ病に関する医学的知見)→ 発症前の業務内容及び生活状況並びにこれらが労働者に与える心身的負荷の有無や程度、労働者の基礎疾患などの身体的要因や、うつ病に神話的な性格などの個体側の要因などを具体的かつ総合的に検討 → 社会通念に照らして判断するのが相当(相当因果関係の判断基準)→ 社会通念上、精神疾患を発症させる一定以上の危険性の有無 → 同種労働者の中でその性格傾向が最も脆弱である者を基準とするのが相当(判決)→ 勤務状況のみからは、直ちに公務の過重性を導く事実を認めるのは困難 → 指導に困難を要する複数の児童らの問題が当初から顕在化 → 数々の問題行動が発生していたというべき(その程度)→ 亡Kが注意して収まるといったものではない。→ 児童を身体的に制圧したり、保護者からの要請・苦情への対処をしたりするほどに重大 → 個々の問題ごとにみれば、教師としてクラス担当になれば多くの教師が経験するもの(亡Kの場合)→ 数々の問題が解決するまもなく立て続けに生じた点に特徴がある。(かかる状況は改善される兆しもない。)→ 新規採用教員であった亡Kにとり、客観的に見て強度な心理的負荷を与えるものであったと理解するのが相当(こうした状況下)→ 当該教員に対して組織的な支援体制を築き、他の教員とも情報を共有したうえ、継続的な指導・支援を行うことが必要であるところ → 亡Kに対してかかる支援が行われたとは認められない。(精神障害)→ 公務に内在ないし随伴する危険の現実化として発症したものということが出来る。(相当因果関係)→ 肯定することが出来、本件自殺を公務外の災害と認定した本件処分は違法 → 取り消しを免れない。
イ) 私的要因 :亡Kに公務以外で特段の心理的負荷を発生させるような出来事があったとは認められない。
ロ) 精神障害 :亡Kは、平成16年4月に着任して以降、立て続けに公務により強いストレスにさらされ、これに対する適切な支援も受けられなかった。(心理的負荷)→ 新規採用教員として初めてクラスを担任することになったものを基準 → 相当に強度のものであったということが出来る。(他方)→ 亡Kには公務外の心理的負荷や精神障害を発症させるような個体側の要因も認められない。
症状の改善 :うつ病がいったん発症してもその後の心理的負荷が適度に軽減されてさえいれば、症状の改善によって自殺に至る可能性も減少するとみる余地がある。(しかし)→ 亡Kのうつ病発症後の公務による心理的負荷は、既に羅患していたうつ病を悪化させるものであったと言えても、心理的負荷を軽減させるものではなかった。→ 精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、または自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で行われたものというべき → 亡Kの精神障害と本件自殺との間の因果関係に中断があったとは認められない。
結果は、下位から3番目でしたが、良い運動が出来き、楽しかったです。
今回の判例は、業務起因性であり、結局のところは業務起因性を認める結果となるのですが、相当因果関係の判断基準として、社会通念上、精神疾患を発症させる一定以上の危険性の有無、同種労働者の中でその性格傾向が最も脆弱である者を基準とするのが相当というところに、若干疑問はできるが、今のところ、これに従わないといけないのだと思います。
(事件概要)
本件は、原告Xが、Xの子でありJ小学校に勤務する教員であった亡Kが自殺したのは、上記教員としての過重な公務によりうつ病に羅患し、引き続く公務による過重な心理的負荷によりうつ病を増悪させたことによって引き起こされたものであると主張(地方公務員災害補償基金(Y)静岡県支部長に対し)→ 亡Kの相続人として地方公務員災害補償法に基づく公務災害の認定を請求(平成18年8月21日)→ 公務外の災害であると認定する処分 → 被告Yに対し、同処分の取り消しを求めた。
勤務状況 :おおよそ午前7時に出勤し、授業準備を行い、午前8時頃から教室で授業などを行った後(午後5時頃)→ 職員室に戻り、午後6時ないし7時頃には帰宅
質的起因性 :児童Nを中心として、いじめ、カンニング等のトラブルがたびたび発生 → 授業も騒がしく、亡Kは、初任者研修資料に、「私が話していたり、だれかの発表中に大きな声で話し始める子が数人いて、その子たちが黙るまで待つようにしたら、ほとんど授業が進まなかった」「私の注意はほとんど聞かず、大騒ぎが続いて、どうしたらいいかわからない。疲れきった」等と記載 → A教論から、教室内で騒いでいる児童がいたにもかかわらずそれを注意しなかったことを指摘 →「給料もらっているんだろう、アルバイトじゃないんだぞ、ちゃんと働け」などと叱責 → Nを中心とするトラブルは終息することはない。(平成16年9月21日)→ Nが他の児童の腕を噛み、それに対して亡Kが噛まれた児童の母親に電話をするという対処(同月28日)→ 亡Kは、児童Nの母親から、「Nの事ですが、4年生になってから、頻繁に先生から電話をもらうようになりこちらも精神的に参っています」「先生はちゃんと子供の話を聞いていますか?」「先生の方も過剰に反応しすぎだと思います。もう少し先生が厳しく子供たちに接して頂きたいです」「今のままの状態では学校へ通わせることを考えなければなりません」と記載された手紙を受け取った。(翌日の同月29日午前5時頃)→ 駐車場に停車した自家用車内に火を付け、焼身自殺
(考察)
相当因果関係 :単に公務が他の原因と共働して精神疾患を発症または増悪させた原因であると認められるだけでは足りず、当該公務自体が、社会通念上、当該精神疾患を発症または増悪させる一定程度以上の危険性を内在または随伴していることが必要(判決)→ 業務とうつ病発症、増悪との相当因果関係の存否を判断(うつ病に関する医学的知見)→ 発症前の業務内容及び生活状況並びにこれらが労働者に与える心身的負荷の有無や程度、労働者の基礎疾患などの身体的要因や、うつ病に神話的な性格などの個体側の要因などを具体的かつ総合的に検討 → 社会通念に照らして判断するのが相当(相当因果関係の判断基準)→ 社会通念上、精神疾患を発症させる一定以上の危険性の有無 → 同種労働者の中でその性格傾向が最も脆弱である者を基準とするのが相当(判決)→ 勤務状況のみからは、直ちに公務の過重性を導く事実を認めるのは困難 → 指導に困難を要する複数の児童らの問題が当初から顕在化 → 数々の問題行動が発生していたというべき(その程度)→ 亡Kが注意して収まるといったものではない。→ 児童を身体的に制圧したり、保護者からの要請・苦情への対処をしたりするほどに重大 → 個々の問題ごとにみれば、教師としてクラス担当になれば多くの教師が経験するもの(亡Kの場合)→ 数々の問題が解決するまもなく立て続けに生じた点に特徴がある。(かかる状況は改善される兆しもない。)→ 新規採用教員であった亡Kにとり、客観的に見て強度な心理的負荷を与えるものであったと理解するのが相当(こうした状況下)→ 当該教員に対して組織的な支援体制を築き、他の教員とも情報を共有したうえ、継続的な指導・支援を行うことが必要であるところ → 亡Kに対してかかる支援が行われたとは認められない。(精神障害)→ 公務に内在ないし随伴する危険の現実化として発症したものということが出来る。(相当因果関係)→ 肯定することが出来、本件自殺を公務外の災害と認定した本件処分は違法 → 取り消しを免れない。
イ) 私的要因 :亡Kに公務以外で特段の心理的負荷を発生させるような出来事があったとは認められない。
ロ) 精神障害 :亡Kは、平成16年4月に着任して以降、立て続けに公務により強いストレスにさらされ、これに対する適切な支援も受けられなかった。(心理的負荷)→ 新規採用教員として初めてクラスを担任することになったものを基準 → 相当に強度のものであったということが出来る。(他方)→ 亡Kには公務外の心理的負荷や精神障害を発症させるような個体側の要因も認められない。
症状の改善 :うつ病がいったん発症してもその後の心理的負荷が適度に軽減されてさえいれば、症状の改善によって自殺に至る可能性も減少するとみる余地がある。(しかし)→ 亡Kのうつ病発症後の公務による心理的負荷は、既に羅患していたうつ病を悪化させるものであったと言えても、心理的負荷を軽減させるものではなかった。→ 精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、または自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で行われたものというべき → 亡Kの精神障害と本件自殺との間の因果関係に中断があったとは認められない。
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