fc2ブログ

正社員と契約社員の労働条件の相違

(事件概要)
Y社と有期労働契約を締結して勤務しているXが、
無期契約を締結している正社員とXとの間で、
無事故手当、
作業手当、
給食手当、
住宅手当、
皆勤手当、
通勤手当、
家族手当、
賞与、
定期昇給、
退職金

に相違があることは労契法20条に違反しているなどと主張

・労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認めらえるものであってはならない。

(訴え)
① 正社員と同一の権利を有する地位にあることの確認を求める
② 主位的に、平成21年10月1日から27年11月30日までの間に正社員に支給された本件諸手当との差額の支払いを求め、
予備的に、不法行為に基づき、上記差額に相当する額の損害賠償を求める。

契約社員と正社員との間に相違はなく、当該業務に伴う責任の程度に相違があったとの事情もうかがわれない。

<正社員就業規則>
配転条項 :業務上必要がある場合は従業員の就業場所の変更を命ずることができる旨の定めがあり、正社員については出向を含む全国規模の広域異動の可能性がある
等級役職制度 :公正に評価された職務遂行能力に見合う等級役職への格付けを通じて、従業員の適正な処遇と配置を行うと共に、教育訓練の実施による能力の開発と人材の育成、活用に資することを目的として、等級役職制度が設けられている。

<契約社員就業規則>
配転条項 :配転又は出向に関する定めはなく、就業場所の変更や出向は予定されていない。
等級役職制度 :設けられていない。

(判決)
無事故手当、
作業手当、
給食手当、
通勤手当、
→ これらは不法行為に当たると判断

住宅手当 :不合理と認められるものに当たらない
正社員については、転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得る。
正社員に対して上記の住宅手当を支給する一方で、契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、不合理であると評価することができるものとはいえない。

皆勤手当 :不合理と認められるものに当たらないとした判断は是認できないとして、高裁に差し戻し
Y社の乗務員については、契約社員と正社員の職務の内容は異ならないから、
出勤する者を確保する事の必要性については、職務の内容によって両者の間に差異が生ずるものではない。
労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当

<差額賃金請求>
① 労契法20条は、職務の内容等の違いに応じた均衡の取れた処遇を求める規定である。私法(私人としての利益や関係について規定した法律)上の効力を有し、有期労働契約のうち同条に違反する労働条件の相違を設ける部分は無効となる。
② 同条の効力により当該有期契約労働者の労働条件が比較の対象である無期契約労働者の労働条件と同一のものとなるものではないと解するのが相当
③ 労契法20条に違反する場合、正社員の定めが契約社員であるXに適用されることとなると解することは、就業規則の合理的な解釈としても困難

→ 本件確認請求及び本件差額賃金請求は理由がない。

<損害賠償請求>
① 両者の労働条件の相違が不合理であるか否かの判断は規範的(何が理想で何が理想でないかに則って)評価を伴うものである。
② 当該相違が同条に違反することを争うものが、それぞれ立証責任を負うものと解される。



スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる