客待ち待機時間は労働時間に該当するか否か
平成24年5月31日、今週は本当に忙しい一週間でした。明日もありますが・・・・。
生命保険で大人気だった商品が5月中で終了という事で、入りたいと言ってくれた方々全ての方を一週間で回り、やっと本日で終了!
さて、久々に判例を読みました。
今回は、割増賃金に関する判例です。
待機時間が労働時間に該当するかどうかが争点となり、やはりロいう同時間として認められました。
ただ、労働協約を作成していたにも関らず、否定されたところがポイントでしょうか。
(事件概要)
被告Y社のタクシー乗務員として雇用されていた原告X1およびX2(X1ら)が、次の基準に基づいて、労働時間からカットされた30分を超えるYの指定場所以外での客待ち時間分の賃金が未払いであるとして、これに該当する賃金(未払い時間外労働割増賃金および深夜労働割増賃金)およびその遅延損害金並びに労基法114条に基づく付加金及びその遅延損害金の支払いを求めた。(判決)→ 満額認容
<Yにおける労働時間のカットの対象とならない待機時間に関する基準>
a. 日曜、祝日の待機についてはカットしない。
b. 平日の出勤から午前12時までの待機についてはカットしない。
c. 待機場所が、東洋ホテル、都町周辺、タクシー協会が設置しているタクシーベイ、大銀ドームの場合、および婚礼待機、配車による待機、乗客の要請による待機については労働時間のカットはしない。
d. 売上月額35万円以上の場合、労働時間はカットしない。
e. 売上日額が、当直以外の勤務の場合2万7,000円以上、当直勤務の場合3万円以上あれば当該日については労働時間はカットしない。
<Yの主張>
(i) 労働時間のうち正当な労務提供と認められない部分については、昭和40年代から労働時間カットを実施
(ii) いかなる場所が労働時間カットの対象となるかについては、X1らも所属する労組との間で協議を重ね、組合勉強会についても、組合員に周知徹底がなされていた。
(iii) 52年7月20日に締結されたYと組合との間の労働協約 → 早退・遅刻、サボタージュ、労務提供をしない者及び組合用務について、労働時間ごとに定められた水揚げに達した時間は労働時間カットの対象外とする旨の規定
(iv) 労働時間カットの対象とされる時間は、信義則によって債務の本旨に従った労務の提供がないもの → ノーワーク・ノーペイの原則により賃金カットを行ったもの
(v) 特に大分駅構内での客待ち待機は極めて非効率 → 行わないように再三にわたり指導 → X1らはこの指揮命令を無視してこれを繰り返していた。
<争点>
労基法上の労働時間 :労働者が使用者の明示又は黙示の指揮命令ないし指揮監督の基に置かれている時間(タクシーに乗車して客待ち待機をしている時間)→ 30分を超えるものであっても、その時間は客待ち待機をしている時間であることに変わりない。(Yの具体的指揮命令)→ 直ちにX1らはその命令に従わなければならない。→ X1らは労働の提供ができる状態 → 30分を越える客待ち待機をしている時間が、Yの明示又は黙示の指揮命令ないし指揮監督の下に置かれている時間であることは明らか。
労基法上の労働時間に該当するか否か :当事者の約定にかかわらず客観的に判断すべき → 労働協約の規定があったとしても、Yの指定する場所以外の場所での30分を越える客待ち待機時間が労基法上の労働時間に該当しなくなるわけでない。(大分駅構内などにおける30分を越える客待ち待機時間)→ 労働時間として否定されるほど、あるいは、およそ労働と認められないほどの信義則違反がX1らにあることは認められない。
争点①が認められた場合に、未払い賃金額はどれだけか :労働時間からカットされた30分を越えるYの指定場所以外での客待ち待機時間分につき、未払賃金(未払時間外労働割増賃金および深夜労働割増賃金)および遅延損害金の支払いが認められた。
付加金の請求は認められるか。 :Yは、時間外労働割増賃金、深夜労働割増賃金の支払いを怠っている。(労働時間に該当するかどうかの判断)→ 労基法114条所定の付加金の支払いを免れることはできない。
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さて、久々に判例を読みました。
今回は、割増賃金に関する判例です。
待機時間が労働時間に該当するかどうかが争点となり、やはりロいう同時間として認められました。
ただ、労働協約を作成していたにも関らず、否定されたところがポイントでしょうか。
(事件概要)
被告Y社のタクシー乗務員として雇用されていた原告X1およびX2(X1ら)が、次の基準に基づいて、労働時間からカットされた30分を超えるYの指定場所以外での客待ち時間分の賃金が未払いであるとして、これに該当する賃金(未払い時間外労働割増賃金および深夜労働割増賃金)およびその遅延損害金並びに労基法114条に基づく付加金及びその遅延損害金の支払いを求めた。(判決)→ 満額認容
<Yにおける労働時間のカットの対象とならない待機時間に関する基準>
a. 日曜、祝日の待機についてはカットしない。
b. 平日の出勤から午前12時までの待機についてはカットしない。
c. 待機場所が、東洋ホテル、都町周辺、タクシー協会が設置しているタクシーベイ、大銀ドームの場合、および婚礼待機、配車による待機、乗客の要請による待機については労働時間のカットはしない。
d. 売上月額35万円以上の場合、労働時間はカットしない。
e. 売上日額が、当直以外の勤務の場合2万7,000円以上、当直勤務の場合3万円以上あれば当該日については労働時間はカットしない。
<Yの主張>
(i) 労働時間のうち正当な労務提供と認められない部分については、昭和40年代から労働時間カットを実施
(ii) いかなる場所が労働時間カットの対象となるかについては、X1らも所属する労組との間で協議を重ね、組合勉強会についても、組合員に周知徹底がなされていた。
(iii) 52年7月20日に締結されたYと組合との間の労働協約 → 早退・遅刻、サボタージュ、労務提供をしない者及び組合用務について、労働時間ごとに定められた水揚げに達した時間は労働時間カットの対象外とする旨の規定
(iv) 労働時間カットの対象とされる時間は、信義則によって債務の本旨に従った労務の提供がないもの → ノーワーク・ノーペイの原則により賃金カットを行ったもの
(v) 特に大分駅構内での客待ち待機は極めて非効率 → 行わないように再三にわたり指導 → X1らはこの指揮命令を無視してこれを繰り返していた。
<争点>
労基法上の労働時間 :労働者が使用者の明示又は黙示の指揮命令ないし指揮監督の基に置かれている時間(タクシーに乗車して客待ち待機をしている時間)→ 30分を超えるものであっても、その時間は客待ち待機をしている時間であることに変わりない。(Yの具体的指揮命令)→ 直ちにX1らはその命令に従わなければならない。→ X1らは労働の提供ができる状態 → 30分を越える客待ち待機をしている時間が、Yの明示又は黙示の指揮命令ないし指揮監督の下に置かれている時間であることは明らか。
労基法上の労働時間に該当するか否か :当事者の約定にかかわらず客観的に判断すべき → 労働協約の規定があったとしても、Yの指定する場所以外の場所での30分を越える客待ち待機時間が労基法上の労働時間に該当しなくなるわけでない。(大分駅構内などにおける30分を越える客待ち待機時間)→ 労働時間として否定されるほど、あるいは、およそ労働と認められないほどの信義則違反がX1らにあることは認められない。
争点①が認められた場合に、未払い賃金額はどれだけか :労働時間からカットされた30分を越えるYの指定場所以外での客待ち待機時間分につき、未払賃金(未払時間外労働割増賃金および深夜労働割増賃金)および遅延損害金の支払いが認められた。
付加金の請求は認められるか。 :Yは、時間外労働割増賃金、深夜労働割増賃金の支払いを怠っている。(労働時間に該当するかどうかの判断)→ 労基法114条所定の付加金の支払いを免れることはできない。
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