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管理監督者性

平成24年6月17日、本日は子供の写真撮影に行ってきました。
本当に子供の成長は早いもので、ポーズまで取っていたのには驚かされました。
さて、今回の判例ですが、管理監督者性を認めることが出来るかどうかが大きく判断に影響し、今回についても、管理監督者性を総合考慮した上で、管理監督者性を認めることは出来ませんでした。



(事件概要)

被告Y社は、訴外A銀行東京支店などの関連会社から受託した業務を行う外国法人(平成19年12月)→ 原告Xは人材紹介会社の紹介を受け、Yに入社(Aへ出向)→ 採用時に期間の定めのない労働契約が締結 → Xの年棒は1,250万円(3か月の試用期間満了時)→ Yから本採用を拒否(本件)→ 未払残業代とその付加金、企業型確定拠出年金にかかるYへの返還金の引渡し、別件労働審判においてY代理人が誤ってXの住所を記載した申立書を裁判所に提出 → それが誤送され、誤送先の住人が開封した恐れがあることによって苦情を受けた。→ 損害賠償をYに請求

労働契約 :Xは、Yに採用される前から訴外Bが所有する訴外物件を貸借して居住 → 入社に伴い社宅制度の利用を申し入れた。(訴外物件に関る賃貸借契約)→ YとBで新たに締結(平成20年4月末)→ YがXの本採用を拒否 → 賃貸借契約を解約して明け渡す旨をBと合意(しかし)→ Xが訴外物件に居住を続けている。(同年6月)→ Bが、YおよびXを被告として別件建物明渡訴訟を提起(20年10月)→ YはXを相方として、XがYの従業員たる地位を有さないことの確認を求める別件労働審判を申し立てたものの棄却(異議申し立てにより地位確認本訴事件に移行)→ Xも地位確認などを求める反訴を提起

別件訴訟判決 :Xに試用期間を適用しないとする個別合意があったと認められない。(一方)→ Xに業務遂行上の問題 → 上司からの注意指導に反発するなど就業規則の解雇事由が存在(解雇権濫用の評価根拠事実も認められない。)→ Xの請求を全て棄却(Yに対して)→ 基本給月額が約104万円であることの確認(Yおよびその採用時の人事担当者であった被告Cに対して)→ 欺罔行為ないし怠業により訴外物件に関する訴訟を提起(代理人からプライバシーにかかわる事実を吹聴され、前記労働審判を申し立てられるなどの行為)→ 経済的・精神的損害を受けたとして損害賠償を請求する関連訴訟を提起(東京地裁)→ 紛争解決のために必要ないし友好的説と認められる特段の事情がないとして賃金の確認請求を却下(損害賠償請求)→ YおよびCの行為に不法行為を構成するほどの違法性はないとして、棄却


(考察)

Xの管理監督者性 :以下の内容が必要(①における業務に対する裁量性は認められる)→ 職務の内容、労働時間管理の裁量性、賃金上の処遇からみて、業務に裁量性は認められる。→ 統括的な業務を担当していたわけではなく、労務管理上の決定などに裁量性はない。→ 労基法41条2号の管理監督者に当たらない。(労働者の担当業務に裁量労働制類似の裁量性がある。)→ 管理監督者であるとはいえず、インターネットバンキング担当のVPというXの職務上の地位や権限は、労働時間規制の適用が排除されても保護に欠けるところがないとするほど高次のものではない。

① 職務の内容が、少なくともある部門の統括的なもの(部下に対する労務管理上の決定等)→ 一定の裁量権を有している。

② 自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有している。

③ 一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていること

時間外・深夜・休日割増賃金を含むとする労働契約の有効性 :割増賃金を年棒に含める取り扱いは、年棒のうち割増賃金に当たる部分とそれ以外の部分とを明確に区分することが出来る場合 → その有効性を認めることが出来る。(法内残業についてはこの限りではなく)→ Yの賃金規程上も年棒制対象者に割増賃金を支払わないことが明記 → 法定外の時間外労働・休日労働・深夜労働に関する割増賃金の請求のみを認めた。

Xの労働時間 :最寄駅のIC乗車券の出入場記録に関して、Xが事後的に手帳に記載した可能性は否定できない。(Yの保持するオフィスへの出入記録)→ すべてを記録するものではない。→ その時間帯に在室していた事実を超えてオフィスにいなかったことを証明するものではないとして退けた。(IC乗車券の出入場記録)→ 間接証拠、補助証拠にすぎない。→ 手帳の記載が直接証拠に当たるとして、そのほかメールの発信時刻、上司との面談記録などからXの労働時間を認定

Xに支払われるべき残業代の額 :(3)の通り(割増賃金の計算)→ 社宅制度利用に伴う給与減額について、この制度の税法上、社会保険上のメリット・デメリットを踏まえた明確な合意が当事者間にない。(労働者であるXに不利にならない方向での合理的意思解釈)→ 減額後の月額賃金に家賃額の95%に当たる現物給付がされていたもの → 賃金月額を認めるのが相当(週休二日)→ どちらが法定休日か明確な定めはない。→ 週休二日制の成立に鑑み、旧来からの休日である日曜日が法定休日があると解するのが一般的社会通念に合致する。→ 特段の事情がない限り、日曜日を法定休日とする黙示の定めがあったと解するのが相当

付加金請求の可否 :訴状の提出時点で除斥期間を経過していたとして棄却
除斥期間 :権利行使の期間が限定され、その期間内に権利行使をしないと権利が消滅すること

企業型確定拠出年金の積立金にかかる返還請求の可否 :企業型確定拠出年金の再信託資産管理機関は事業主へ積立金を返還することが年金規約上定められている。→ 解雇が有効であればその返還は有効 → Xがその返金を求める余地はない。

別件労働審判申立事件における申立書の誤送にかかる損害賠償請求の可否 :弁護士の業務の独立性にかんがみると、依頼者であるYと使用従属関係はない。→ Yは不法行為責任を負わない。
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