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懲戒処分の可否

平成24年6月18日、本日は建設業の仕事をしている一人親方に対して、労災保険の説明を行ってきました。
意外に、細かい内容については皆さん分かり難いようで、説明をする価値があったと思いました。

さて、今回の判例は、久々に懲戒処分に関する内容でした。

相変わらず、懲戒については細かい内容をつつかれることが多く、今回も就業規則通りにはいかず、懲戒処分を否定されている。



(事件概要)

B社は、赤字経営に終始して経営が悪化(平成20年10月)→ 破綻手続き開始決定 → Y法人は、長崎県などにおけるBの破たん原因についての調査・検証(過程)→ XがYの服務に関する規定などに照らして必要な手続きを経ずに勤務時間中にB関係の業務に従事していたことが明らか(就業規則等)→ 平成15年度から平成21年度までのXがB業務に従事したことを示す資料を提出するよう求めた。→ Xの代理人弁護士は、資料の提出が出来ない旨の回答(就業規則46条)→ 懲戒処分が無効(次より)→ 損害賠償金などの支払いを求め、懲戒処分が不法行為を構成 → 慰謝料および弁護士費用などの支払いを求める。→ 懲戒処分を無効(以下a~b)→ 請求を認容 → 故意または過失によりXに対して無効な本件懲戒処分 → Xの教育研究をする権利、名誉などの権利が侵害 → 不法行為に基づく損害賠償金などの支払いを求める請求 → 慰謝料200万円および弁護士費用80万円の限度で認容
a. 懲戒処分の付着しない労働契約上の権利を有することの確認
b. 未払い賃金又は債務不履行による損害賠償金などの支払いを求め
c. 懲戒処分により研究費減額分相当の損害を被った → 研究費の減額が本件懲戒処分によるものであると認めることは出来ない。→ 請求を棄却
1. B社 :Xが、平成15年10月17日、医薬品の研究・開発の受託業務などを目的 → 代表取締役に就任
2. Y法人 :Y大学などを設置運営する法人 → Xの使用者たる地位を長崎県から承継


<就業規則等>
 就業規則4条 :法人及び職員は、誠意をもってこの規則を遵守しなければならない。
 Y職員兼業規程11条 :理事長は、必要に応じて、許可を与えた職員に兼業の実施状況の報告を求めることが出来る。
 就業規則46条 :次より停職6月の懲戒処分(処分理由)→ 兼業従事許可期間において、本来兼業が認められていないYの勤務を要する日または勤務を要する時間内に、勤務日または勤務時間の振り替え申請を行うことなくBの業務に従事(以下の(a)~(f))→ Xが勤務時間内の兼業従事について承認がなされていると認識していた場合 → このような兼業従事を理由として懲戒を行うことは許されない。
 1号 :職員が次の各号のいずれかに該当する場合は、懲戒処分を行う。
 7号 :正当な理由なく無断欠勤した場合
(a) Yが、長崎県と共に、XがBの代表取締役として兼業に従事することについて全面的に支援・後押し
(b) 企業立上げ時の業務を行うに当たって、Xにおいて勤務時間内に業務に従事することが避けられない。→ 通常人であれば容易に理解できた。
(c) 長崎県又はYの関係者が同席してBに関する行事が行われている。(長崎県及びY)→ XがYの勤務時間内にこのような行事に参加・出席等してBの業務に従事しているとの認識を有す。
(d) 長崎県又はYが、Xに対し、振り替え申請を行うことなく勤務時間内にBの業務に従事 → 非違行為であるなどとして注意・警告をしたことは全くなかった。
(e) Yは、教員の労働時間について、規程上は時間労働制である。(しかし)→ 実態として裁量労働制と同様の運用 → 規定と異なる運用実態があった。
(f) Xが、長崎県及びYの上記(a)~(e)のような行為(長崎県及びY)→ Xに大学教員としての本来の服務に支障を生じさせない限度で勤務時間内にBの業務に従事することにつき承認しているものと認識していた。
3. 資料提出が出来ない旨の回答 :その資料に基づいて懲戒を受ける恐れが高い。→ 懲戒処分を回避するためであったと認められる。(資料提出の拒否)→ 停職処分を行うことは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当なものとして是認することは出来ない。
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