従業員の不法行為
平成24年7月23日、本日は助成金の申請手続きをしていました。
就業規則との関連性が大きく、就業規則の作成についても勉強になることが多々ありました。
さて、本日の判例についてですが、バタバタしていて久々に読むことが出来ました。
従業員の背任行為について、全体的に損害額を認めています。しかし、今回の従業員は管理監督者であり、その分を考慮した上で、今後の在り方を検討していければと考えています。
(事件概要)
Xは、Y1を退職したが、退職に当たって後任者に対する十分な引継ぎを行わなかった。→ Y2は、Xの退職に不明朗な点を感じ、東京支社の調査を行った。→ Xが使用していた机の中から多数の請求書を発見(各請求書の内容と口座への入金状況とを突き合わせて調査)→ 一部の請求書について対応する入金がないか、不足金があることが判明(Xの在職中)→ Y2は、東京支社の業務に用いる口座の通帳などを保管し、取引先からの入金の事実を確認するのみ → 請求書の内容を確認することや、請求書と入金状況を突き合わせて未入金の取引がないかなどを確認することは行っていなかった。→ Y2は、東京支社の収支に関してXに問い合わせた。(しかし)→ Xが真摯に対応しようとしなかった。→ Xへの電話で感情的になって発言し、またXの仕事上の知人への電話でXを非難する発言(Xは退職後)→ Y1に対して、未払いとなっていた平成21年3月分の給与の支払いを求める。(Y2に対して)→ 同人から脅迫的言動を受けたり、名誉を棄損する発言をされたなどとして、不法行為に基づく損害賠償を請求(Xに対して)→ Y1は、同人が在職中に売上金を不正に取得 → 不法行為に基づく損害賠償を請求
(考察)
1. Xの不法行為の有無およびY1の損害 :支社長としてY1の利益を最大限に図るべき立場 → 業務委託契約の相手方である取引先から定期的に定額の報酬を受け取り、取引先の利益のために行動するというのは、明らかにY1との関係で利益相反行為である。→ 不法行為の成立が認められる。→ Xの背任行為であるとして損害賠償請求を認容
イ. Xは、Y1社と取引関係にあるC社の東京支店長という肩書の名刺を作成 → Xは、業務委託先の名刺を作成しておけば円滑に業務が進む旨述べてY2の承諾を得ていた。
ロ. Cから業務を受託して月額10万円(合計350万円)の金員を受け取っていた。→ Y2に報告していなかった。
不法行為による損害額 :XがY1と取引先間との業務委託契約の趣旨に従って業務を誠実に履行し、Y1の利益を最大限図るべく行動していれば、Y1に帰属したはずの利益であると推認するのが相当 → その全額がY1の損害として認められる。
2. 未払い賃金額 :XがY1に対する背信的行為を行ったことが賃金の支払いを拒む理由とはなりえないのは明白 → 賃金支払い請求を認容
3. Y2のXに対する不法行為の有無およびXの損害 :Xが背信行為を行っており、Xが真摯に説明しようとしなかったことは事実(しかし)→ Xおよびその家族にことさら恐怖感を与える言動をすることは許されるべきではない。→ 仕事上の知人に対しXの経済的信用を損なうことを意図してY1の金員を横領した旨流布することは社会通念上その相当性を逸脱した行為 → Xに対する不法行為に当たる。→ 精神的苦痛に対する慰謝料として、20万円が相当
就業規則との関連性が大きく、就業規則の作成についても勉強になることが多々ありました。
さて、本日の判例についてですが、バタバタしていて久々に読むことが出来ました。
従業員の背任行為について、全体的に損害額を認めています。しかし、今回の従業員は管理監督者であり、その分を考慮した上で、今後の在り方を検討していければと考えています。
(事件概要)
Xは、Y1を退職したが、退職に当たって後任者に対する十分な引継ぎを行わなかった。→ Y2は、Xの退職に不明朗な点を感じ、東京支社の調査を行った。→ Xが使用していた机の中から多数の請求書を発見(各請求書の内容と口座への入金状況とを突き合わせて調査)→ 一部の請求書について対応する入金がないか、不足金があることが判明(Xの在職中)→ Y2は、東京支社の業務に用いる口座の通帳などを保管し、取引先からの入金の事実を確認するのみ → 請求書の内容を確認することや、請求書と入金状況を突き合わせて未入金の取引がないかなどを確認することは行っていなかった。→ Y2は、東京支社の収支に関してXに問い合わせた。(しかし)→ Xが真摯に対応しようとしなかった。→ Xへの電話で感情的になって発言し、またXの仕事上の知人への電話でXを非難する発言(Xは退職後)→ Y1に対して、未払いとなっていた平成21年3月分の給与の支払いを求める。(Y2に対して)→ 同人から脅迫的言動を受けたり、名誉を棄損する発言をされたなどとして、不法行為に基づく損害賠償を請求(Xに対して)→ Y1は、同人が在職中に売上金を不正に取得 → 不法行為に基づく損害賠償を請求
(考察)
1. Xの不法行為の有無およびY1の損害 :支社長としてY1の利益を最大限に図るべき立場 → 業務委託契約の相手方である取引先から定期的に定額の報酬を受け取り、取引先の利益のために行動するというのは、明らかにY1との関係で利益相反行為である。→ 不法行為の成立が認められる。→ Xの背任行為であるとして損害賠償請求を認容
イ. Xは、Y1社と取引関係にあるC社の東京支店長という肩書の名刺を作成 → Xは、業務委託先の名刺を作成しておけば円滑に業務が進む旨述べてY2の承諾を得ていた。
ロ. Cから業務を受託して月額10万円(合計350万円)の金員を受け取っていた。→ Y2に報告していなかった。
不法行為による損害額 :XがY1と取引先間との業務委託契約の趣旨に従って業務を誠実に履行し、Y1の利益を最大限図るべく行動していれば、Y1に帰属したはずの利益であると推認するのが相当 → その全額がY1の損害として認められる。
2. 未払い賃金額 :XがY1に対する背信的行為を行ったことが賃金の支払いを拒む理由とはなりえないのは明白 → 賃金支払い請求を認容
3. Y2のXに対する不法行為の有無およびXの損害 :Xが背信行為を行っており、Xが真摯に説明しようとしなかったことは事実(しかし)→ Xおよびその家族にことさら恐怖感を与える言動をすることは許されるべきではない。→ 仕事上の知人に対しXの経済的信用を損なうことを意図してY1の金員を横領した旨流布することは社会通念上その相当性を逸脱した行為 → Xに対する不法行為に当たる。→ 精神的苦痛に対する慰謝料として、20万円が相当
スポンサーサイト