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出来高給の成否

今日は、1月31日に産まれた第2子と共に、実家に挨拶行ってきました。

さて、今日の判例は給与規程の作成に役立つような気がしました。
出来高給とは、名の通り売上高等に対して、その何%を給与として支払うというセオリーを持っていましたが、時間に対する賃金支払いを応用することも、場合によっては出来高給として認められるケースがあることに、この判例を呼んだ意味を感じました。


(経緯)
平成21年5月分までの給与支給の際、一時期を除いて、Y社から業務インセンティブおよび超勤手当を支給 → Y社は、従来、ポータブルポス開始と終了の時間でSDの労働時間を管理(19年9月23日頃)→ 従業員が現実に従事した時間外労働時間を基礎に労基法所定の計算方法により計算された時間外労働手当を支給していなかった。(労基書から是正勧告20年夏頃)→ Yは、Xに対し、17年10月分から19年9月分までの未払い割増賃金約11万円(750時間分)を支払おうとする。(しかし)→ Xから時間外労働がもっと多くある旨指摘(21年3月5日)→ Xの主張する時間外労働時間1,445時間を認め、未払い割増賃金118万3,290円をXに支払った。(平成21年3月26日)→ Yに対し、違法な300円控除措置による未払い残業代および賃金の支払いと17年10月分から19年9月分までのXのSD業務インセンティブ実績表の写しの開示を求めた。(300円控除措置)→ 違法ではなく、未払い残業代はない旨回答 → SD業務インセンティブ実績表の写しを送付(平成21年4月30日)→ 労基書から業務インセンティブの計算方法を就業規則に記載していないことなどについて是正勧告(平成21年6月26日)→ 給与規程15条にSD業務インセンティブの計算式など詳細を明記原告Xが、Y社から支給される業務インセンティブ中の1日当たりの総労働時間に時間単価300円をかけた金額を控除する措置は、給与規程に根拠がなく違法無効(業務インセンティブ)→ 出来高給ではなく、残業代の計算に誤りがあり、未払残業代および未払給与がある。→ 未払い残業代312万1,102円および未払い給与または損害賠償金326万520円の計638万1,622円と遅延損害金など並びに未払い残業代と同額の付加金の支払を求めた。(判決)→ Xの未払い残業代及び未払い給与又は損害賠償金、遅延損害金並びに未払い残業代と同額の付加金の請求が退けられた。


給与規程15条
1項 :業務インセンティブは、業務別に定め、仕事量の測定に基づき支給する。なお、測定に当たっては、地域的な要素を加味する。
2項 :仕事量の測定については他担当業務インセンティブ日額表および業務インセンティブランク格付け表に定め、店所業績に応じて単価を変動させる。

給与規程20条1項
社員が会社の指示により所定労働時間外・休日または深夜にわたり勤務した場合及び労使協定による特定日に勤務した場合は以下の計算式により手当を支給する。なお、時間外労働の取り扱いについては、別に定める。

1時間の単位額=((基本給+リーダー手当+地域手当)×月間所定労働時間165時間の1,25)+(業務インセンティブ×総労働時間(月間所定労働時間+超勤時間)の0.25)

(考察)
300円控除措置 :業務インセンティブ中の1日当たりの総労働時間に時間単価300円をかけた金額を控除する措置 → 業務インセンティブの計算過程に過ぎない。→ 業務インセンティブは300円控除措置とそれ以外の部分を全体として把握するのが相当 → 業務インセンティブから300円控除措置のみを切り離し、300円控除措置のみが給与規程15条に反して違法無効ということは出来ない。→ Xの主張を退けている。
(i) 業務インセンティブの目的 :従業員の労働時間の短縮と効率化という業務インセンティブの目的にはそれ自体合理性がある。
(ii) 1日の業績全体で評価して計算される業務インセンティブの額が不当とは言い切れない。(計算方法)→ 従業員にとって一方的に不利益であるとはいえない。
(iii) 短時間で同じ業績を上げた者や同じ時間で高い業績を上げたものの業務インセンティブが相でないもののそれより高額になることは不合理とは言えない。→ 集荷・配達業務に密接に関連する準備又は整理の時間帯を300円控除措置の対象とすることは必ずしも不当とはいえない。→ これらの時間帯を含めて業務の合理化により労働時間を短縮することが必ずしも不可能とはいえない。→ Xが時間外労働を行うことが多かったとしても、300円控除措置を含む業務インセンティブの計算方法に合理性がある。→ 公序良俗に反しない。
(iv) 給与規程そのものには業務インセンティブの計算方法を記載していない。→ 従業員にこれを周知している。

業務インセンティブは出来高給に当たるか :SD個人の集荷・配達・販売という業績に基づいて計算 → 時間的要素を斟酌した300円控除措置が講じられている。(出来高給の性格上)→ 時間的要素を斟酌することが許されないということは出来ない。→ 個人業績インセンティブの計算方法は出来高給の性質に合致する。(店所業績インセンティブ)→ 店所業績を斟酌するものではあるものの、業務インセンティブ中における比率は大きくない。(加えて)→ 増額のみがされる項目であり、これにより減額がされることはない。→ 出来高給の性質を左右しないというべき → 労基法施行規則19条1項6号が適用されるというべき

労基法施行規則19条1項6号 :出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期問における、総労働時間数で除した金額
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