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派遣契約における団交拒否

平成24年10月1日、今年もついに10月になり、そろそろ年末に向けての準備をしていかないといけないかなと考える今日この頃です。
9月は、24日にセミナーを行い、今週あたりにアンケートの回収ができると思うので、その中で役立ちそうな内容があれば、ここでも紹介させて頂きます。
さて、今月から本格的に勉強会をしたいと考えております。
以下の所から、申込、拝見して頂くこともできますので、一度興味のある方はご連絡をください。

<お問い合わせページ>
http://www.nakamine-office.com




(事件概要)X1は同年4月2日に、C社との間で雇用契約を締結し、同日からはこれら契約に基づき本件刑務所内で管理栄養士業務に従事(平成19年8月17日)→ 本件交代要請により、同月21日以降は本件刑務所に出勤していない。(同日付)→ Cはハローワークを介して、本件刑務所で業務を行う管理栄養士の募集(平成19年9月11日)→ X1はX2組合に加入(同日付)→ Cに対して「組合員の地位・身分、雇用関係について、その他」を協議事項とする団体交渉を申し入れ(本件刑務所長に対して)→「本件協議事項1」として同月20日付で団体交渉を申し入れた。→ 第1回協議、第2回協議(「本件団交申入れ」)→ X2は、第3回協議として、本件刑務所長に対し平成19年10月26日付の要求書と第3回目の交渉を求めた。→ 第3回協議への参加を拒否し、以後、Xらが求めた協議に応じていない。(平成19年11月29日)→ X2は本件刑務所およびY(国)を被申立人として、本件拒否が労組法7条2号の不当労働行為に該当するとして救済申立て(20年12月18日)→ 本件刑務所は法律上独立した権利義務の帰属主体でないとしてこれを却下 → Yについては、X1の労働条件などについて、部分的とはいえ、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定している実態がある。→ X2からの団交の申し入れに応じるべき地位にある。(本件拒否)→ 正当な理由のない団交拒否 → 労組法7条2号の不当労働行為に該当することを認める。→ CがX1に対し何度も職場復帰を求めたがX1は復帰しないまま雇用期間が終了し、別の管理栄養士が労働している。→ X1が職場復帰をする可能性がない。→ 団交の実施を命じる必要はないなどして結論として請求を棄却(平成21年7月27日)→ X1およびX2は、本件訴訟を争点①から③を提起
争点① 本件刑務所長又は職員が、X1に対し、偽装請負に基づきX1を就労させた行為、本件交代要請、職場環境調整義務違反、直接雇用申込み義務違反の各行為に関し、国賠法上の違法行為を行った事実の有無(本件刑務所長らのX1に対する各行為)→ いずれも国賠法上の違法行為には該当しない。
イ. 偽装請負に基づき就労させた行為 :X1の就労に至る経緯や本件刑務所による事前面接の事実などを指摘して派遣法違反の事実を認めた。(派遣法に違反した労働者派遣が行われた場合)→ 特段の事情のない限り、そのことだけによって派遣労働者と派遣元との間の雇用契約が無効になることはない。→ 偽装請負によって受け入れたとしても、X1の権利が侵害されたものとは認められない。→ 締結した本件刑務所長の行為が、国賠法上の違法行為に該当すると評価することは出来ない。
ロ. 本件交代要請の違法性 :派遣元は派遣先に対して約束した役務を提供する債務を負っている。(勤務状況が、派遣契約に照らして不完全履行の状態となる場合)→ 派遣先は、派遣元に対して、債務の完全履行請求として派遣労働者の交代を求めることが出来る。(本件刑務所内での就労実態)→ X1が事実と異なる発言などを繰り返しできた。→「本件刑務所の用度課および処遇部の職員らの間に混乱を生じさせて、用度課および処遇部の業務の円滑な遂行を妨げる。(本件業務委託契約において)→ 業務担当栄養士が行うべき業務の遂行状況として不十分な状態に該当するものと認められる。」→ 合理性がある。
ハ. 派遣法に基づく直接雇用申込義務違反 :本件業務違反契約は派遣期間に上限のあるもの → 派遣法の期間制限に違反している。→ 本件刑務所長およびCのいずれもこれを認識しておらず、派遣停止の通知(派遣法35条の2第2項)を欠く。(派遣法40条の4の申込義務)→ 派遣先の派遣労働者に対する直接雇用申込み義務を規定したにとどまり → 申込の意思表示を擬制したものではない。→「上記義務違反により、派遣先と派遣労働者との間に当然に雇用契約が成立するものとは認められない。」→ X1がYに直接雇用されることについて、法的保護に値するに足りる期待権が生じていたとは認められない。
 派遣法35条の2第2項(労働者派遣の期間) :派遣元事業主は、前項の当該抵触することとなる最初の日の1月前の日から当該抵触することとなる最初の日の前日までの間に、厚生労働省令で定める方法により、当該抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨を当該派遣先及び当該労働者派遣に係る派遣労働者に通知しなければならない。
 派遣法40条の4 :派遣先は、第35条の2第2項の規定による通知を受けた場合において、当該労働者派遣の役務の提供を受けたならば第40条の2第1項の規定に抵触することとなる最初の日以降継続して第35条の2第2項の規定による通知を受けた派遣労働者を使用しようとするときは、当該抵触することとなる最初の日の前日までに、当該派遣労働者であって当該派遣先に雇用されることを希望するものに対し、雇用契約の申し込みをしなければならない。
争点② 本件拒否が不当労働行為に該当するか(本件刑務所長は労組法7条の「使用者」に該当するか、本件協議事項2は義務的団交事項に該当するか、本件拒否に正当な理由があるか)
イ. 労組法7条の「使用者」 :上記「事件概要」の通り(加えて)→ 派遣先で出勤確認がお紺われていた事実関係 → X1の基本的労働条件などについて雇用主である訴外Cと部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位 → その限りで労組法上の「使用者」に該当
ロ. 本件協議事項2は義務的団交事項に該当するか :本件交代要請は、「事実上、X1とCとの労働契約上の地位に影響を与える。」→ 義務的団交事項に該当する。
ハ. 本件拒否 :第1回および第2回の協議で本件交代要請の理由に関し一定の説明があったことは認めつつも、未解決の問題に対して協議の回数が2回に留まることを指摘 → 拒否する正当な理由があったとはいえない。→ 労組法7条2号の不当労働行為に該当
争点③ Xらの損害の内容および額 → X2は労働組合として団結権、交渉権を法的権利として保障(本件団交拒否)→ 団体交渉権を侵害されるとともに、労働条件の改善に貢献する機会を奪われ、組合員からの信頼や信用及び社会的評価が低下するなどの無形の損害を被った。→ 損害賠償請求が30万円の範囲で認容(X1の損害)→ 本件拒否により権利を侵害されて損害を受けた事実はないとして否定
1 本件交代要請 :平成19年8月17日、本件刑務所朝の決済の下、Cに対してX1の交代が要請
2 本件刑務所とCとの関係 :本件刑務所では、健康増進法21条1項等に基づき管理栄養士をおくことが義務付けられている。→ 管理栄養士業務委託契約の一般競争入札で落札者となったCとの管理栄養士派遣契約または管理栄養士業務委託契約を締結して管理栄養士を確保
3 業務委託契約(本件交代条項) :「本件刑務所長は業務管理者又は業務担当管理栄養士を不適当と認めたときは、…その理由を付して交代を求めることが出来る」旨が定められていた。
4 本件協議事項1 :「X1の本件刑務所内での就業環境についての事実確認、X1の退職に関わる経緯」を協議事項
5 第1回協議 :団交要求を受けて、平成19年10月2日には、X1およびX2役員6名と本件刑務所のGら3名、ならびにCとの間でX1の就労状況や本件交代要請に至った経緯などについて話し合いがもたれた。
6 第2回協議 :平成19年10月23日、CのL取締役から、本件刑務所とCとの調査結果として、本件刑務所長が本件交代要請を撤回し、CがX1を本件刑務所での勤務に復帰させるとする提案(しかし)→ X2組合側は、職場復帰の前提として、本件交代要請に至る事実確認を明らかにする必要がある。→ 上記提案を受け入れず、①から③等を求めた。
① 本件刑務所長名義による本件交代要請の謝罪文の提出
② 本件交代要請の理由を記載した文書の提出
③ 用度課長の人事異動などの職場環境の改善策の提示
<要求書>
① 本件刑務所長名で謝罪すること
② これまでの経過につき業務委託発注責任者として文書で説明すること
③ 本件協議事項2
 本件協議事項2 :X1の職場復帰に向けて、就業環境及び契約条件の改善の内容をCと協議の上提示
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