パワハラ
24年10月17日、今日は個人相談会で、ある事業所を訪れました。
この頃良くある、監督署からの是正勧告でお困りの会社でした。
少しでも私のアドバイスが役立ってもらえれば幸いです。
今日の判例は、パワハラについてです。
つい、この間まではパワハラやセクハラについては、被害者側がそう感じた場合には認められることが多かった気がしますが、この頃は、下記の内容のように、細かく確認をすることで判決が出されているように感じます。
11月にも、勉強会を開催いたします。
詳細は次の通りです。
http://www.nakamine-office.com/
お誘い合わせの上、お申し込みください。
(事件概要)Xは、平成18年4月28日、脊髄空洞症などに羅患したことにより、同日から同年7月15日までの間、I病院に入院し、退院後、自宅療養を経て、同年9月に職場復帰し、Q支店に配属(19年11月16日)→ Xは、脊髄空洞症による左肩関節、左肘機能の著しい障害により身体障害者等級4級と認定(20年12月5日から21年3月13日)→ 不安抑うつ状態によりI病院に4回通院(平成21年2月)→ Xは、不安抑うつ状態とインフルエンザにより欠勤(同年3月13日)→ Y1に対し辞表を提出(同年3月31日)→ 選択定年退職(訴え)→ Xが、上司のパワハラにより退職を余儀なくされたとして、Y2らとして不法行為に基づく損害賠償を請求(Y1に対して)→ Y2らの使用者責任を追及 → Y1が、雇用する労働者の業務の管理を適切に行い、心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っている。(注意義務を怠ったとして)→ 不法行為に基づく損害賠償および遅延損害金を求めた。
1. パワハラ(不法行為) :Y2は、ミスをしたXに対し、厳しい口調で辞めてしまえ、(他人と比較して)以下だなどといった表現を用いて、叱責していたことが認められ、それも1回限りではなく、頻繁に行っていたと認められる。→ ミス及び顧客トラブルでY2に叱責されている内容からすると、Xが通常に比して仕事が遅く、役席に期待される水準の仕事が出来てはいなかったとはいえる。(しかし)→ 本件で行われたような叱責は、健常者であっても精神的にかなりの負担を負うものであるところ(脊髄空洞症による療養復帰直後であり)→ 同症状の後遺症などが存するXにとっては、さらに精神的に厳しいものであったと考えられる。→ Y2が全くの無配慮であったことに照らすと、上記X自身の問題を踏まえても、Y2の行為はパワハラに該当する。
2. Y1の使用者責任 :Y2らに不法行為責任が発生しない事のみを使用者責任が発生しない根拠として主張(民法715条1項ただし書き)→ 選任、監督に相当の注意をしたことなど責任発生を阻害するほかの事情を主張していない。→ Y1に使用者責任が認められる。
民法715条1項(使用者等の責任) :ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
3. 配転等について注意義務違反 :Xが病気明けであることを踏まえ、外勤から内勤へと異動(Xの事務能力、Y2との関係及びY1銀行Q支店の繁忙度などから)→ 本店のサポートセンターへの異動を行い、残業や情報処理能力の問題の解消のため現金精査室へ異動(Xの体調面の問題)→ 最後に人事総務部への異動 → 短期間で各部署へ移されている上、その結果、各部署で不都合が生じたことから次の異動を行ったという場当たり的な対応である感は否めない。→ Y1が能力的な制約のあるXを含めた従業員全体の職場環境に配慮した結果の対応 → 従業員の配置転換には、使用者にある程度広範な裁量が認められている事にも鑑みると、Y1銀行に安全配慮義務違反がるとして、不法行為に問うことは相当ではない。
4. 損害額 :Y2の行為について、Xの精神的苦痛を慰謝するのに100万円の支払いをY2およびY1に命じた。(逸失利益)→ Y1に責任が認められるのは、Y2のパワハラに対する使用者責任となる。→ XがY2と共に勤務していたのは平成19年4月30日まで(その後退職まで)→ 2年近くの期間がある。→ Y2及びY1の行為によりXが退職を余儀なくされたとまでは言い難い。→ 本件で認められる不法行為と、Xの退職との間に相当因果関係があるとまでは認められない。→ 本件では、逸失利益まで損害に含めることは相当ではない。
この頃良くある、監督署からの是正勧告でお困りの会社でした。
少しでも私のアドバイスが役立ってもらえれば幸いです。
今日の判例は、パワハラについてです。
つい、この間まではパワハラやセクハラについては、被害者側がそう感じた場合には認められることが多かった気がしますが、この頃は、下記の内容のように、細かく確認をすることで判決が出されているように感じます。
11月にも、勉強会を開催いたします。
詳細は次の通りです。
http://www.nakamine-office.com/
お誘い合わせの上、お申し込みください。
(事件概要)Xは、平成18年4月28日、脊髄空洞症などに羅患したことにより、同日から同年7月15日までの間、I病院に入院し、退院後、自宅療養を経て、同年9月に職場復帰し、Q支店に配属(19年11月16日)→ Xは、脊髄空洞症による左肩関節、左肘機能の著しい障害により身体障害者等級4級と認定(20年12月5日から21年3月13日)→ 不安抑うつ状態によりI病院に4回通院(平成21年2月)→ Xは、不安抑うつ状態とインフルエンザにより欠勤(同年3月13日)→ Y1に対し辞表を提出(同年3月31日)→ 選択定年退職(訴え)→ Xが、上司のパワハラにより退職を余儀なくされたとして、Y2らとして不法行為に基づく損害賠償を請求(Y1に対して)→ Y2らの使用者責任を追及 → Y1が、雇用する労働者の業務の管理を適切に行い、心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っている。(注意義務を怠ったとして)→ 不法行為に基づく損害賠償および遅延損害金を求めた。
1. パワハラ(不法行為) :Y2は、ミスをしたXに対し、厳しい口調で辞めてしまえ、(他人と比較して)以下だなどといった表現を用いて、叱責していたことが認められ、それも1回限りではなく、頻繁に行っていたと認められる。→ ミス及び顧客トラブルでY2に叱責されている内容からすると、Xが通常に比して仕事が遅く、役席に期待される水準の仕事が出来てはいなかったとはいえる。(しかし)→ 本件で行われたような叱責は、健常者であっても精神的にかなりの負担を負うものであるところ(脊髄空洞症による療養復帰直後であり)→ 同症状の後遺症などが存するXにとっては、さらに精神的に厳しいものであったと考えられる。→ Y2が全くの無配慮であったことに照らすと、上記X自身の問題を踏まえても、Y2の行為はパワハラに該当する。
2. Y1の使用者責任 :Y2らに不法行為責任が発生しない事のみを使用者責任が発生しない根拠として主張(民法715条1項ただし書き)→ 選任、監督に相当の注意をしたことなど責任発生を阻害するほかの事情を主張していない。→ Y1に使用者責任が認められる。
民法715条1項(使用者等の責任) :ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
3. 配転等について注意義務違反 :Xが病気明けであることを踏まえ、外勤から内勤へと異動(Xの事務能力、Y2との関係及びY1銀行Q支店の繁忙度などから)→ 本店のサポートセンターへの異動を行い、残業や情報処理能力の問題の解消のため現金精査室へ異動(Xの体調面の問題)→ 最後に人事総務部への異動 → 短期間で各部署へ移されている上、その結果、各部署で不都合が生じたことから次の異動を行ったという場当たり的な対応である感は否めない。→ Y1が能力的な制約のあるXを含めた従業員全体の職場環境に配慮した結果の対応 → 従業員の配置転換には、使用者にある程度広範な裁量が認められている事にも鑑みると、Y1銀行に安全配慮義務違反がるとして、不法行為に問うことは相当ではない。
4. 損害額 :Y2の行為について、Xの精神的苦痛を慰謝するのに100万円の支払いをY2およびY1に命じた。(逸失利益)→ Y1に責任が認められるのは、Y2のパワハラに対する使用者責任となる。→ XがY2と共に勤務していたのは平成19年4月30日まで(その後退職まで)→ 2年近くの期間がある。→ Y2及びY1の行為によりXが退職を余儀なくされたとまでは言い難い。→ 本件で認められる不法行為と、Xの退職との間に相当因果関係があるとまでは認められない。→ 本件では、逸失利益まで損害に含めることは相当ではない。
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