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年休取得と不利益

平成24年10月28日、先日久々にセミナーに行ってきました。

労働契約法、高年齢法、パートタイム労働法の改正についてですが、今後の判例がどのように変わってくるのか楽しみでもあり、不安でもありますが、今後の対応には、かなり参考となるものでした。

さて、本判例は、有給休暇取得したものに対する不利益がどこまで有効かを示したものです。

まずは、労働基準法136条が努力義務であり、不利益取り扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない。

と示したところが大きいと思います。

今後の有休や給与規定の変更に大きく参考になると思います。

また、11月にも出張個別相談会を行います。

私が直接事務所までお伺いさせて頂きます。

ご興味のある方は、是非次のホームページをご確認ください。

http://www.nakamine-office.com



(事件概要)原告4名は、タクシー事業を営む株式会社である被告に、タクシーの乗務員として勤務 → 被告は、乗務員が交番表(月ごとの勤務予定表)に定められた出番(始業から終業までの勤務単位)を全て乗務した場合 → 皆勤手当5,500円を支給(出番全て無事故無違反で乗務した場合)→ 安全含む手当9,000円を支給(他方)→ 年次有給休暇権の行使を欠勤と同視(乗務員が年休権を1出番行使した場合)→ 皆勤手当金額及び安全服務手当のうち4,500円支給しなかった。→ 2つの手当について、年休権を行使した場合には、行使しなかった場合よりも1か月最大1万4,500円を減額されることとなった。(訴え)→ 原告らは、年休権の行使を理由に賃金の一部である安全含む手当及び皆勤手当を減額されたことは、労基法39条、136条に違反 → 民法90条により私法上無効 → 減額分の支払いを求めて訴えを提起
 労基法136条 :使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
 労基法39条
1. 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
2. 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
3. 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
 民法90条 :公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
1. 争点 :年休取得を理由とする安全含む手当及び皆勤手当の減額・不支給が司法上有効であるか否か(労基法136条)→ 同条はそれ自体としては使用者の努力義務を定めたもの → 不利益取り扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を有するものとは解されない。→ このような措置は、年休権を保障した労基法39条の精神に沿わない面を有することは否定できない。(しかし)→ 効力については、趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、年休権行使に対する事実上の抑止力の強弱など諸般の事情を総合 → 年休権行使を抑制し、ひいては同法が労働者に同権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序に反して無効とは出来ないと解するのが相当(①から③)→ 労基法39条および136条の趣旨からみて望ましいものではないとしても、原告らの同法上の年休権行使を抑制し、ひいては同法が労働者に上記権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとまでは認められない。→ 公序に反し無効であるとはいえない。
① タクシー事業者であり専ら営業収入により利益を上げている。→ 交番表作成後の代替要員確保が困難 → 仮に確保できたとしても当該代替要員の乗務が予定されていた別の出番が休車になってしまうという事情 → 車両の効率的な運行確保のために乗務員の出番完全乗務を奨励する目的で行われているもの → 原告ら乗務員の年休権行使を一般的に抑制しようとする趣旨・目的があるとは認められない。
② 本件で問題とされている減額分についての対賃金総支給額割合がたまたま1.99%ないし7.25%であるからといって、本件減額が乗務員に対して常に年休権行使の抑制に結びつくほど著しい不利益を課するものと断定できない。
③ 使用者として時季変更権を行使することが考えられるような場合 → 申請の通りに年休権を行使させる方向で運用がなされていて、乗務員の年休権行使の実情をみても本件減額によって乗務員の年休権行使が一般的に強く抑制されているものとは認められない。
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