懲戒解雇までの経緯
平成24年11月12日、今日は子供と空手に行ってきました。礼儀作法が行き届いており、子供の頃から学ぶには良い環境であると思います。
さて、今回の判例は懲戒解雇であり、懲戒事由の要素である弁明の機会、教示、脅迫的でないか?など、細かいところまで考えられている所で、参考となりました。
また、追加主張についても、今後の仕事面にも役立つ内容でした。
12月も勉強会をさせて頂きたいと考えております。
内容としましては、「労働契約法の改定」「社会保険料の減額方法」等、会社の問題及び、経費の節減を念頭に入れたものを行いたいと考えております。
詳しい内容はコチラを参照ください。→ http://www.nakamine-office.com/1212_seminar.pdf
(事件概要)Y1社は、平成21年7月21日付の消印がある書面において、Xに対し、同月14日付で懲戒解雇する旨を通知 → 同月22日にXに到達(同月29日)→ Y1は、Xに対し、本件懲戒解雇の理由を説明(平成21年7月22日)→ Xが、Y1から、会社に無断で競業会社である訴外Cの情報システム構築などの支援を行い、会社の機密情報などを不正に社外に持ち出したなどの理由で、同月14日付懲戒解雇処分を受けたことから、Xが以下(1)(2)を主張 → 不法行為に基づき、連帯して慰謝料等の支払いを求めた。
(1) 懲戒事由が存在せず、しかも懲戒権の濫用 → 正当な手続きも得ていない事などから無効 → 以下アからウ
ア 労働契約上の地位確認
イ 平成21年7月から本件判決までの賃金などの支払い
ウ 不法行為に基づき慰謝料などの支払いを求める。
(2) Y2が、何の根拠もないのにXが横領したなどと疑い、Y1の社員らと共謀して、Xに暴行を加えたり、Xの自宅に不法侵入してパソコンを脅し取ったり、ファミリーレストランにXを監禁したりした。
<書面>
第1 Xの私用パソコンに、Y1、グループ会社の機密情報、個人情報に関する資料を含む社内にのみ存在すべき情報が大量に記録 → Xがこのような機密、個人情報を不正に取得し、これを社外で保有 → 就業規則70条2号に該当 → Y1個人情報管理規定上の情報管理義務などに違反 → 同条4号に該当
第2 Xが平成21年6月中頃、情報システム構築などの支援をした行為 → 誠実義務、職務専念義務に違反 → 同条4号に該当
第3 21年7月14日、出勤を命じられたにもかかわらずこれを拒み、同日中出勤しなかった行為 → 同条4号に該当
第4 上記第1の行為は、不正競争防止法21条1項2号ロに該当する犯罪行為 → 同条10号に該当
不正競争防止法21条1項2号ロ :詐欺等行為又は管理侵害行為により不正に取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又は保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示する罪
<就業規則70条>
2号 業務上知り得た会社または顧客の機密・個人情報を漏洩し、または漏洩しようとしたとき
4号 業務上の指揮命令に違反し、または業務上の義務に背いたとき
10号 故意または重大な過失により、会社または取引先に重大な損害を与えたとき
<本件懲戒解雇事由>
①・②・③および⑤について、就業規則70条に定める懲戒事由にあたる。(④)→ 平成21年7月14日に出張命令が出された事実はない。→ 事実の存在を否定
① 本件システムのCへの販売 → Y1の損失でCを利する行為 → 誠実義務違反として就業規則70条4号に該当することは明白(争点③)→ 平成21年7月14日付の懲戒解雇通知、同月29日付の解雇理由通知、および、懲罰委員会議事録のいずれにも記載がない。→ 懲戒解雇事由として主張することは許されない。
② Cのシステム構築への従事およびネットワーク関連機器の手配 → ①の通り(争点③)→ 無断で半年にわたって協業他社であるCを支援 → 懲戒解雇直前まで取締役 → 背信性は著しく、Y1に多大な損害を与えた造反を容易にした。→ 調査になかなか協力しようとせず、警察に複数回通報して妨害 → 他に懲戒歴などもないことなどの事情を勘案しても、懲戒解雇の効力が肯定(会社の立場により変わる。)
③ 会社機密情報の大量持ち出し → データの持ち出しは、その量及び態様に照らし、情報管理規定に違反していることが明らか → 就業規則70条4号に該当することは明らか
④ 出社命令違反
⑤ ①および②によりY1からCへの集団移籍を容易にし、Y1に重大な損害を与えた → Cのシステム構築を支援し、当然支援できるはずの費用もまったく請求していない。→ 本件システムと全く同じ物を競合他社に納めることの特異性を考えれば、Xが本件造反への動きを了知していたか、少なくとも本件造反が起こりうることを予測し得たと推認されることを指摘 → 就業規則70条10号に該当(争点③)→ Y1に与えた被害の大きさやその重大性に鑑みれば、関与および加担行為について、当然、懲戒解雇の相当性を判断するにあたって考慮される情状
<争点>
A事件
① 本件懲戒解雇事由の存否 :本件懲戒解雇事由に記載
② 弁明の機会付与の有無 :弁明の機会として相当性を欠くとまでは言い難い。
(イ) 弁明の機会が与えられているかどうか? :一応の弁明の機会が与えられ、実際に弁明を行ったものと認めることが相当
(ロ) 教示されているかどうか? :事情聴取の際に本件造反に関する事情聴取である事、協業会社C社との関わり如何によっては懲戒解雇になる可能性もあることを度々伝えられている。
(ハ) 厳しく激しいこと、脅迫的でないか? :脅迫的なやり取りがあったのであれば、早々にその場を離脱しているはず
(ニ) 事情聴取が長時間?頭の回転が回らなくなる。 :Cとの関わりについて自ら進んで説明しない。Xの陳述態度によるところが大きかった。
③ 懲戒権濫用の有無 :追加主張 → 使用者側が後にこれを懲戒事由として主張することは出来ない。→ 本件懲戒解雇事由に記載
<追加主張>
懲戒当時使用者が認識していなかった非違行為は、当該懲戒の理由とされたものではないことが明らか
使用者側があえて懲戒理由から外したことが明らか
④ 普通解雇の有効性
⑤ 不法行為の成否(本件懲戒解雇の違法性) :懲戒解雇は有効 → 何ら違法ではなく、不法行為は成立しない。
B事件
⑥ 不法行為の成否(不法行為、監禁等の有無) :暴行・監禁・脅迫または不法侵入などの事実はない。→ 不法行為の成立を否定
さて、今回の判例は懲戒解雇であり、懲戒事由の要素である弁明の機会、教示、脅迫的でないか?など、細かいところまで考えられている所で、参考となりました。
また、追加主張についても、今後の仕事面にも役立つ内容でした。
12月も勉強会をさせて頂きたいと考えております。
内容としましては、「労働契約法の改定」「社会保険料の減額方法」等、会社の問題及び、経費の節減を念頭に入れたものを行いたいと考えております。
詳しい内容はコチラを参照ください。→ http://www.nakamine-office.com/1212_seminar.pdf
(事件概要)Y1社は、平成21年7月21日付の消印がある書面において、Xに対し、同月14日付で懲戒解雇する旨を通知 → 同月22日にXに到達(同月29日)→ Y1は、Xに対し、本件懲戒解雇の理由を説明(平成21年7月22日)→ Xが、Y1から、会社に無断で競業会社である訴外Cの情報システム構築などの支援を行い、会社の機密情報などを不正に社外に持ち出したなどの理由で、同月14日付懲戒解雇処分を受けたことから、Xが以下(1)(2)を主張 → 不法行為に基づき、連帯して慰謝料等の支払いを求めた。
(1) 懲戒事由が存在せず、しかも懲戒権の濫用 → 正当な手続きも得ていない事などから無効 → 以下アからウ
ア 労働契約上の地位確認
イ 平成21年7月から本件判決までの賃金などの支払い
ウ 不法行為に基づき慰謝料などの支払いを求める。
(2) Y2が、何の根拠もないのにXが横領したなどと疑い、Y1の社員らと共謀して、Xに暴行を加えたり、Xの自宅に不法侵入してパソコンを脅し取ったり、ファミリーレストランにXを監禁したりした。
<書面>
第1 Xの私用パソコンに、Y1、グループ会社の機密情報、個人情報に関する資料を含む社内にのみ存在すべき情報が大量に記録 → Xがこのような機密、個人情報を不正に取得し、これを社外で保有 → 就業規則70条2号に該当 → Y1個人情報管理規定上の情報管理義務などに違反 → 同条4号に該当
第2 Xが平成21年6月中頃、情報システム構築などの支援をした行為 → 誠実義務、職務専念義務に違反 → 同条4号に該当
第3 21年7月14日、出勤を命じられたにもかかわらずこれを拒み、同日中出勤しなかった行為 → 同条4号に該当
第4 上記第1の行為は、不正競争防止法21条1項2号ロに該当する犯罪行為 → 同条10号に該当
不正競争防止法21条1項2号ロ :詐欺等行為又は管理侵害行為により不正に取得した営業秘密を、不正の利益を得る目的で、又は保有者に損害を加える目的で、使用し、又は開示する罪
<就業規則70条>
2号 業務上知り得た会社または顧客の機密・個人情報を漏洩し、または漏洩しようとしたとき
4号 業務上の指揮命令に違反し、または業務上の義務に背いたとき
10号 故意または重大な過失により、会社または取引先に重大な損害を与えたとき
<本件懲戒解雇事由>
①・②・③および⑤について、就業規則70条に定める懲戒事由にあたる。(④)→ 平成21年7月14日に出張命令が出された事実はない。→ 事実の存在を否定
① 本件システムのCへの販売 → Y1の損失でCを利する行為 → 誠実義務違反として就業規則70条4号に該当することは明白(争点③)→ 平成21年7月14日付の懲戒解雇通知、同月29日付の解雇理由通知、および、懲罰委員会議事録のいずれにも記載がない。→ 懲戒解雇事由として主張することは許されない。
② Cのシステム構築への従事およびネットワーク関連機器の手配 → ①の通り(争点③)→ 無断で半年にわたって協業他社であるCを支援 → 懲戒解雇直前まで取締役 → 背信性は著しく、Y1に多大な損害を与えた造反を容易にした。→ 調査になかなか協力しようとせず、警察に複数回通報して妨害 → 他に懲戒歴などもないことなどの事情を勘案しても、懲戒解雇の効力が肯定(会社の立場により変わる。)
③ 会社機密情報の大量持ち出し → データの持ち出しは、その量及び態様に照らし、情報管理規定に違反していることが明らか → 就業規則70条4号に該当することは明らか
④ 出社命令違反
⑤ ①および②によりY1からCへの集団移籍を容易にし、Y1に重大な損害を与えた → Cのシステム構築を支援し、当然支援できるはずの費用もまったく請求していない。→ 本件システムと全く同じ物を競合他社に納めることの特異性を考えれば、Xが本件造反への動きを了知していたか、少なくとも本件造反が起こりうることを予測し得たと推認されることを指摘 → 就業規則70条10号に該当(争点③)→ Y1に与えた被害の大きさやその重大性に鑑みれば、関与および加担行為について、当然、懲戒解雇の相当性を判断するにあたって考慮される情状
<争点>
A事件
① 本件懲戒解雇事由の存否 :本件懲戒解雇事由に記載
② 弁明の機会付与の有無 :弁明の機会として相当性を欠くとまでは言い難い。
(イ) 弁明の機会が与えられているかどうか? :一応の弁明の機会が与えられ、実際に弁明を行ったものと認めることが相当
(ロ) 教示されているかどうか? :事情聴取の際に本件造反に関する事情聴取である事、協業会社C社との関わり如何によっては懲戒解雇になる可能性もあることを度々伝えられている。
(ハ) 厳しく激しいこと、脅迫的でないか? :脅迫的なやり取りがあったのであれば、早々にその場を離脱しているはず
(ニ) 事情聴取が長時間?頭の回転が回らなくなる。 :Cとの関わりについて自ら進んで説明しない。Xの陳述態度によるところが大きかった。
③ 懲戒権濫用の有無 :追加主張 → 使用者側が後にこれを懲戒事由として主張することは出来ない。→ 本件懲戒解雇事由に記載
<追加主張>
懲戒当時使用者が認識していなかった非違行為は、当該懲戒の理由とされたものではないことが明らか
使用者側があえて懲戒理由から外したことが明らか
④ 普通解雇の有効性
⑤ 不法行為の成否(本件懲戒解雇の違法性) :懲戒解雇は有効 → 何ら違法ではなく、不法行為は成立しない。
B事件
⑥ 不法行為の成否(不法行為、監禁等の有無) :暴行・監禁・脅迫または不法侵入などの事実はない。→ 不法行為の成立を否定
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