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退職後の割増賃金の請求

平成25年1月6日、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

今年は年明けから子供に初のスキーを体験させてきました。

すごく楽しかったのか、帰るときに難儀しましたが、喜んでもらえて何より。

さて、今年初めの裁判判例です。

本当に簡単な判例ですが、こういう当たり前の判例が意外に実例としては良いと思いました。

労務管理を怠っている企業が多い中で、怠った企業がどれだけの追加請求を被るかが詳しく描かれております。




(事件概要)
同年7月15日付でY社を退職 → XがYに対し、(1)雇用契約に基づき、平成20年3月16日から21年7月15日までに発生した未払割増賃金および遅延損害金ならびに(2)上記未払割増賃金と同額の付加金及び遅延損害金の未払いを求めた。
 労基法32条 :労働時間とは「労働者に実際に労働させる実労働時間、すなわち「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいう」(判断)→ ①から③を総合考慮したうえ、社会通念に照らし、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かという観点から行われるべきもの → 労基法32条2項違反に基づく時間外割増賃金は発生しないものというべき
① 当該業務の提供行為の有無
② 労働契約上の義務付けの有無
③ 義務付けに伴う場所的・時間的拘束性(労務の提供が一定の場所で行うことを余儀なくされ、かつ時間を自由に利用できない状態)の有無・程度
ア 開始時 :勤務パターンは明確にされていなかったが、Xは毎日午前5時頃出社して帰庫管理などに着手 → Yもこれを黙認せざるを得ない状況 → 午前5時であると認められた。
イ 終業時 :毎日午後5時くらいまで居残っていた。(内勤制度)→ 発足し確立していた本件請求期間内においてはXが居残る必要性は消滅 → Yの代表者はXに会う度毎に「早く帰ったらどうか」と退社を促していた。→ Xが午後5時頃までYの指揮命令下に置かれていたものとは言い難い。→ この時刻を実労働時間の終了時とすることは出来ない。
 割増賃金の計算 :週休2日制を採用(実態)→ 休日は週休1日(法定外休日の土曜日)→ 平日と同様に、午前5時頃出社し、8時間程度(本件請求期間70週中67週につき)→ 各週6.75時間の40時間超え時間外労働を行っていたものと認められる。→ 時間外割増賃金185万1,002円について請求を認めた。(残業手当5万円)→ 一部が充当されたものとして、Xが請求し得る賃金額は105万1,002円
 労基法114条(付加金の支払) :裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。→ 付加金として50万円を認容するのが相当
ア Yは、使用者としてXについてもタイムカードないしは出勤簿等により出退勤管理を行うべき義務を負っていた。(しかし)→ これを怠ってきた経緯が認められ、かかるYの対応は労基法37条等の趣旨・目的に照らすと軽々に許されるものではない。
 労基法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
① 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
② 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
③ 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
④ 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
イ 裁判所としては、Yに対して時間外労働等に関する労基法の諸規定の順守を励行させるべく、制裁金たる付加金の支払いを命ずるよりほかない。
ウ 労基法41条2号の「管理監督者」とはいえないものの、それにかなり近い地位にあった時期もあった。
エ 在職中はもとより退職に当たっても上記残業手当のほかに割増賃金の存在を意識し、これを主張した事実がない。
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