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非違行為と退職金の不支給

25年1月9日、遅くなりましたが、皆様、明けましておめでとうございます。本年もブログを拝見頂ければ幸いです。

正月は食べ過ぎで2キロ増えてしまいました。

さて、今年初めの判例は、僕の顧問先でも問題になった事のある退職金についてです。

懲戒解雇をした場合に、退職金を支払わないのは実際に問題とならないのか?

こちらの判例では、全額不支給処分を取り消しております。

細かく説明してくれているので、分かり易い資料としても使えると思いました。




(事件概要)
京都市教育委員会が京都市立中学校教頭であった原告Xに対し、Xが酒気帯び運転をしたことなどを理由として、懲戒免職処分及び一般の退職手当の全部を支給しないことを内容とする退職手当支給制限処分を行う。→ 懲戒免職処分についてはやむを得ないとしながらも、本件処分については裁量権の濫用である主張 → 本件処分の取り消しを求めた。
 本件非違行為 :Xは、道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪で起訴 → 罰金50万円の略式命令を受けた。(平成22年○月18日未明)→ 京都市教育委員会に発覚(同月19日)→ 新聞などで報道
(争点)退職手当の法的性格、および、退職手当支給制限処分の審査方法
 法的性格 :アからウが統合した複合的な性格を有している。(本件)→ 算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定、支給率がおおむね勤続年数に応じて逓増(自己都合退職の場合)→ 支給率を減額
ア 沿革としての勤続報償
イ 賃金の後払い
ウ 退職後の生活保障
 退職手当支給制限処分 :全部または一部を支給しない処分をするに当たっては、(1)から(5)を勘案すべき(審査方法)→ 退職手当管理機関の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべき
(1) 職務及び責任
(2) 勤務の状況
(3) 非違の内容及び程度
(4) 非違に至った経緯
(5) 公務の遂行に及ぼす支障の程度ならびに非違が公務に対する信頼に及ぼす影響
 懲戒処分と退職手当支給制限処分の関係 :賃金の後払いとしての性格を有することに照らす場合 → 懲戒免職処分を受けて退職したからといって直ちにその全額の支給制限まで当然に正当化されるものではないのは明らか → 全額の支給制限が認められるのは、非違行為が、退職者の永年の勤続の功を全て抹消してしまうほどの重大な背信行為である場合に限られる。
(判決)①から③より、退職手当が相応に減額されることはやむを得ない(④から⑧)→ 本件非違行為が永年の勤続の功績を全て抹消するほどの重大な背信行為であるとまでは到底言えない。→ 社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる。→ 本件処分を取り消した。
① Xの飲酒量が多く、非違行為が極めて危険かつ悪質
② 夫婦関係の不和という動機に酌量の余地は皆無
③ 中学校教論で且つ管理職の立場 → 本件非違行為が職務に与える悪影響は大きい
④ 27年間教員として勤務 → 学校教育に多大な貢献 → 本件懲戒処分を受けるまで処分歴はない。
⑤ 本件非違行為は酒酔い運転ではなく酒気帯び運転
⑥ 職務行為とは直接には関係のない私生活上のもの
⑦ 事故の結果も幸い物損
⑧ 示談をして被害弁償を行っている
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