チェック・オフ
今日はバレンタインデーなのに、前々チョコレートをもらうことが出来ませんでした。残念!
今日の勉強内容は、労働組合との条例を巡る裁判でした。
労働組合を弱体化する意図の下でなければ、条例を改正する事も不可能ではないようです。
(事件概要)
被告Y市(大阪市)の非現業職員らによって組織された職員団体・原告X1職員組合およびその組合員X2~X39が、主位的に、従前の給与条例で認められていたチェック・オフを廃止する改正条例のY市議会による制定処分の取消と、Y市長によるその公布処分の取消、予備的に本件改正条例の無効確認を請求(加えて)→ 本件改正条例の制定と公布、施行後のチェック・オフ廃止によって生じた無形損害について、国賠法による損害賠償請求
請求額 :X1組合について、1,000万円、組合員個人について各50万円などを請求
(経緯)
Y市では、職員の超過勤務手当の不適切処理などの厚遇が問題視されていた中(平成20年)→ Y市議会の一部会派から職員団体との癒着や馴れ合いを改めるためとしてチェック・オフを廃止する内容の本件改正条例案が提出(同年3月28日)→ 賛成多数で成立、公布(21年4月1日)→ 施行されて以降、Y市はチェック・オフを中止
改正条例制定行為及び市長の公布行為の処分性 :条例の制定及び公布は、いずれもそれ自体で国民の具体的な権利義務ないし法的地位に影響を及ぼすものではない。→ 首長に再議権(審議のやり直し)があることによりその公布行為の性質に変更が生じるものではない。→ 抗告(不服申し立て)訴訟の対象となる処分性を有しているとはいえず、不適法な訴えとして却下を免れない。
本件改正条例制定の処分性 :条例はそれ自体が抗告訴訟の対象たる処分に当たらない。(しかし)→ その適用を受ける特定の個人の権利義務や法的地位に直接影響を及ぼす場合 → 例外的に当該条例の制定行為をもって処分と解するのが相当である場合も否定できない。(チェック・オフ)→ 団結権等何らかの権利から直接導かれるものとはいえない。→ 便宜供与に過ぎないから、組合の取立て委任及び組合員の支払委任をし得る法的地位が、法的保護に値する利益とは認められない。(本件改正条例)→ 一般的抽象的法規範を定立する普通地方公共団体の議会の固有の立法作用としての性質を有するものである。→ 無効確認も不適法であるとして却下
国賠法請求の可否 :チェック・オフ自体は便宜供与であり団結権から直接導かれるものではない。(地公法55条1項の交渉対象事項)→ 一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項 → チェック・オフはこのような利害関係事項に当たらない。→ 地公法55条による協議がなされなかったとしても違法とはいえず、国賠法上の違法性はない。
条例の制定・施行に至る経緯 :改正条例制定に向けた議論の中で一部議員から組合に対する敵対的発言があったとしても、各会派の議論を経て通常の手続きで可決成立 → 組合弱体化の意図それ自体を認めることは出来ない。→ 職員団体に与える影響などのよう考慮事項を考慮しなかったとか、際議決権を行使しなかったことが違法であるとも言えない。→ 立法裁量権の逸脱もないとして国賠法上の違法性はないとされた。
(参考)
チェックオフ :使用者が労働組合からの委託を受けて、組合員たる従業員の賃金から組合費を徴収して、これを一括して組合に引き渡すこと(S24.8.8 労発第317号)→ チェックオフ自体は、組合活動に対する経費援助にはならない。(S24.8.1 労働法規課長内翰)→ 労働組合の運営に対する支配介入ではない。(トップ工業事件)→ 組合活動に対する便宜供与を含む労働協約が失効したことを理由として、便宜供与を拒否することは直ちに不当労働行為とはいえない。(しかし)→ 労働組合を弱体化する意図の下に、チェックオフの便宜供与を打ち切ったことは不当労働行為に該当(大映事件)→ 従来慣行的に行なわれてきたチェックオフを組合と協議することなく突如として一方的に、しかも組合脱退者が続出しているさなかににわかに廃止したことは、組合運営の混乱と組織の弱体化を期待してなされたものと評価されてもやむを得ない。
地公法55条(交渉)1項 :地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。
今日の勉強内容は、労働組合との条例を巡る裁判でした。
労働組合を弱体化する意図の下でなければ、条例を改正する事も不可能ではないようです。
(事件概要)
被告Y市(大阪市)の非現業職員らによって組織された職員団体・原告X1職員組合およびその組合員X2~X39が、主位的に、従前の給与条例で認められていたチェック・オフを廃止する改正条例のY市議会による制定処分の取消と、Y市長によるその公布処分の取消、予備的に本件改正条例の無効確認を請求(加えて)→ 本件改正条例の制定と公布、施行後のチェック・オフ廃止によって生じた無形損害について、国賠法による損害賠償請求
請求額 :X1組合について、1,000万円、組合員個人について各50万円などを請求
(経緯)
Y市では、職員の超過勤務手当の不適切処理などの厚遇が問題視されていた中(平成20年)→ Y市議会の一部会派から職員団体との癒着や馴れ合いを改めるためとしてチェック・オフを廃止する内容の本件改正条例案が提出(同年3月28日)→ 賛成多数で成立、公布(21年4月1日)→ 施行されて以降、Y市はチェック・オフを中止
改正条例制定行為及び市長の公布行為の処分性 :条例の制定及び公布は、いずれもそれ自体で国民の具体的な権利義務ないし法的地位に影響を及ぼすものではない。→ 首長に再議権(審議のやり直し)があることによりその公布行為の性質に変更が生じるものではない。→ 抗告(不服申し立て)訴訟の対象となる処分性を有しているとはいえず、不適法な訴えとして却下を免れない。
本件改正条例制定の処分性 :条例はそれ自体が抗告訴訟の対象たる処分に当たらない。(しかし)→ その適用を受ける特定の個人の権利義務や法的地位に直接影響を及ぼす場合 → 例外的に当該条例の制定行為をもって処分と解するのが相当である場合も否定できない。(チェック・オフ)→ 団結権等何らかの権利から直接導かれるものとはいえない。→ 便宜供与に過ぎないから、組合の取立て委任及び組合員の支払委任をし得る法的地位が、法的保護に値する利益とは認められない。(本件改正条例)→ 一般的抽象的法規範を定立する普通地方公共団体の議会の固有の立法作用としての性質を有するものである。→ 無効確認も不適法であるとして却下
国賠法請求の可否 :チェック・オフ自体は便宜供与であり団結権から直接導かれるものではない。(地公法55条1項の交渉対象事項)→ 一般的に当然考慮の対象となるべき利害関係事項 → チェック・オフはこのような利害関係事項に当たらない。→ 地公法55条による協議がなされなかったとしても違法とはいえず、国賠法上の違法性はない。
条例の制定・施行に至る経緯 :改正条例制定に向けた議論の中で一部議員から組合に対する敵対的発言があったとしても、各会派の議論を経て通常の手続きで可決成立 → 組合弱体化の意図それ自体を認めることは出来ない。→ 職員団体に与える影響などのよう考慮事項を考慮しなかったとか、際議決権を行使しなかったことが違法であるとも言えない。→ 立法裁量権の逸脱もないとして国賠法上の違法性はないとされた。
(参考)
チェックオフ :使用者が労働組合からの委託を受けて、組合員たる従業員の賃金から組合費を徴収して、これを一括して組合に引き渡すこと(S24.8.8 労発第317号)→ チェックオフ自体は、組合活動に対する経費援助にはならない。(S24.8.1 労働法規課長内翰)→ 労働組合の運営に対する支配介入ではない。(トップ工業事件)→ 組合活動に対する便宜供与を含む労働協約が失効したことを理由として、便宜供与を拒否することは直ちに不当労働行為とはいえない。(しかし)→ 労働組合を弱体化する意図の下に、チェックオフの便宜供与を打ち切ったことは不当労働行為に該当(大映事件)→ 従来慣行的に行なわれてきたチェックオフを組合と協議することなく突如として一方的に、しかも組合脱退者が続出しているさなかににわかに廃止したことは、組合運営の混乱と組織の弱体化を期待してなされたものと評価されてもやむを得ない。
地公法55条(交渉)1項 :地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。
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