労使慣行に関する不利益変更の効力
平成25年2月3日、本日は節分で鬼に扮して子供に豆まきをさせてあげようと思ったら、鬼さん怖いから絶対に来んように電話してと言われ、計画が壊れてしまいました。
本日の判例は、労働者が被る不利益の程度に関して記載されています。
労使慣行がどこまで有効かを細かく書かれている所に勉強になる判例であると思いました。
(事件概要)
本件組合に対し、同年度の一時金として本件一時金額とする旨を回答 → 団体交渉や事務折衝が行われたが、合意に至らなかった。(あっせん)→ 問題は解決しなかった。(17年度から19年度に、一時金として本件一時金を支給)→ XらとYとの間で一時金を本件基準額(給与月額の6.1か月分及び10万円)とすることが具体的請求権として労働契約の内容 → 本件一時金額(給与月額の5.1か月分及び10万円)とする不利益変更は無効 → Yの対応は誠実交渉義務違反に当たることを主張 → 労働契約または債務不履行に基づき、本件基準額と本件一時金額との差額及び遅延損害金の支払いを求めた。(争点①)→ 主張を退けた。(争点②③)→ 本件一時金額との差額の支払い請求を認容
労働協約 :昭和57年度から平成16年度まで、年間一時金の支給基準について労働協約が締結
労使慣行 :誠実に労使交渉を行うべき義務がある。→ その義務が尽くされない限り、使用者は減額を強行できない。→ 少なくとも従前の額の一時金を支給しなければならない。
認定事実 :細かすぎて記載できない。
規範意識 :経営状態が悪化したりするなど人件費抑制の必要性が高くなった場合 → 本給のベースアップをするなどして賃金体系を見直したために一時金の額を引き下げる必要がある場合など → 特段の事情がない限り、年6か月以上の一時金を支払う。
給与規定29条 :「賞与及び臨時手当を、予算の範囲内で、理事長が定める要領により支給することができる」
(労使慣行の変更が許される場合)
必要性及び内容の両面からみて、労働者が被ることになる不利益の程度を考慮 → 当該労使関係における当該変更の法的規範性を是認することができるだけの合理性を有する必要(特に賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす労使慣行の変更について)→ 当該変更がそのような不利益を労働者に法的に受任させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合 → その効力を生ずるものというべき
合理性の有無 :具体的には労使慣行の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の関連するほかの労働条件の改善状況、労働組合などとの交渉の経緯、他の労働組合またはほかの従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況などを総合考慮して判断すべき
(争点)
① 誠実交渉義務違反による債務不履行責任
使用者に誠実交渉義務違反が認められるとしても、誠実に交渉していれば本件基準額(給与月額の6.1か月分及び10万円)で合意していたとはいえない。
② 一時金を本件基準額とすることがXらとYとの間の労働契約の内容となっていたか
労働協約が年度ごとに定められたものであることが書面上明らか(平成17年度以降)→給与規定29条は労働協約に抵触しない。→ 同条により理事長が一時金を裁量により定めることができる。(労働協約が14年間にわたって締結)→ それに基づいて一時金が支給されていたとしても、労使慣行が成立していたとはいえない。(一時金の額を変更しようとする場合)→ 労使慣行が成立していたとはいえない。(しかし)→ 認定事実の事情が認められない本件では、少なくとも年6か月の一時金を支給することが労働契約の内容となっていたものと認めるのが相当
③ 一時金を本件基準額とすることが労働契約の内容となっていた場合、それを変更することに合理性は認められるか
Yの一時金は生活給的な性格が強く、労働者にとって重要な権利、労働条件であることは明らかである。(労使慣行の変更が許される場合)→ 総合的に考慮すれば、労使慣行を本件一時金額とする変更は、これを法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるということは出来ない。
(1) 労働者が被る不利益の程度 :突然に削減される不利益は極めて大きい。
(2) 変更の必要性の内容・程度 :企業経営上、一時金水準を切り下げる差し迫った事情があったとはいえず、当該労使慣行を変更する高度の必要性があったとは認められない。
(ア) Yの教職員が国家公務員、民間企業、国立大学などと比較して一時金の水準が高い
(イ) Yの財政状況が良好であったこと
(ウ) Yと同規模の他の私立大学と比較するとYの教職員の年収が低い水準にある状況
(3) 代償措置 :一時金減額の救済ないし激変緩和措置としての経過措置をとっておらず、何らの代償措置も行っていない。
(4) 交渉の経緯 :組合に対して何度も説明したといえるものの → より丁寧な説明が求められる点もある。→ 結果として合意には達していない。
本日の判例は、労働者が被る不利益の程度に関して記載されています。
労使慣行がどこまで有効かを細かく書かれている所に勉強になる判例であると思いました。
(事件概要)
本件組合に対し、同年度の一時金として本件一時金額とする旨を回答 → 団体交渉や事務折衝が行われたが、合意に至らなかった。(あっせん)→ 問題は解決しなかった。(17年度から19年度に、一時金として本件一時金を支給)→ XらとYとの間で一時金を本件基準額(給与月額の6.1か月分及び10万円)とすることが具体的請求権として労働契約の内容 → 本件一時金額(給与月額の5.1か月分及び10万円)とする不利益変更は無効 → Yの対応は誠実交渉義務違反に当たることを主張 → 労働契約または債務不履行に基づき、本件基準額と本件一時金額との差額及び遅延損害金の支払いを求めた。(争点①)→ 主張を退けた。(争点②③)→ 本件一時金額との差額の支払い請求を認容
労働協約 :昭和57年度から平成16年度まで、年間一時金の支給基準について労働協約が締結
労使慣行 :誠実に労使交渉を行うべき義務がある。→ その義務が尽くされない限り、使用者は減額を強行できない。→ 少なくとも従前の額の一時金を支給しなければならない。
認定事実 :細かすぎて記載できない。
規範意識 :経営状態が悪化したりするなど人件費抑制の必要性が高くなった場合 → 本給のベースアップをするなどして賃金体系を見直したために一時金の額を引き下げる必要がある場合など → 特段の事情がない限り、年6か月以上の一時金を支払う。
給与規定29条 :「賞与及び臨時手当を、予算の範囲内で、理事長が定める要領により支給することができる」
(労使慣行の変更が許される場合)
必要性及び内容の両面からみて、労働者が被ることになる不利益の程度を考慮 → 当該労使関係における当該変更の法的規範性を是認することができるだけの合理性を有する必要(特に賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす労使慣行の変更について)→ 当該変更がそのような不利益を労働者に法的に受任させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合 → その効力を生ずるものというべき
合理性の有無 :具体的には労使慣行の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の関連するほかの労働条件の改善状況、労働組合などとの交渉の経緯、他の労働組合またはほかの従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況などを総合考慮して判断すべき
(争点)
① 誠実交渉義務違反による債務不履行責任
使用者に誠実交渉義務違反が認められるとしても、誠実に交渉していれば本件基準額(給与月額の6.1か月分及び10万円)で合意していたとはいえない。
② 一時金を本件基準額とすることがXらとYとの間の労働契約の内容となっていたか
労働協約が年度ごとに定められたものであることが書面上明らか(平成17年度以降)→給与規定29条は労働協約に抵触しない。→ 同条により理事長が一時金を裁量により定めることができる。(労働協約が14年間にわたって締結)→ それに基づいて一時金が支給されていたとしても、労使慣行が成立していたとはいえない。(一時金の額を変更しようとする場合)→ 労使慣行が成立していたとはいえない。(しかし)→ 認定事実の事情が認められない本件では、少なくとも年6か月の一時金を支給することが労働契約の内容となっていたものと認めるのが相当
③ 一時金を本件基準額とすることが労働契約の内容となっていた場合、それを変更することに合理性は認められるか
Yの一時金は生活給的な性格が強く、労働者にとって重要な権利、労働条件であることは明らかである。(労使慣行の変更が許される場合)→ 総合的に考慮すれば、労使慣行を本件一時金額とする変更は、これを法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるということは出来ない。
(1) 労働者が被る不利益の程度 :突然に削減される不利益は極めて大きい。
(2) 変更の必要性の内容・程度 :企業経営上、一時金水準を切り下げる差し迫った事情があったとはいえず、当該労使慣行を変更する高度の必要性があったとは認められない。
(ア) Yの教職員が国家公務員、民間企業、国立大学などと比較して一時金の水準が高い
(イ) Yの財政状況が良好であったこと
(ウ) Yと同規模の他の私立大学と比較するとYの教職員の年収が低い水準にある状況
(3) 代償措置 :一時金減額の救済ないし激変緩和措置としての経過措置をとっておらず、何らの代償措置も行っていない。
(4) 交渉の経緯 :組合に対して何度も説明したといえるものの → より丁寧な説明が求められる点もある。→ 結果として合意には達していない。
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