fc2ブログ

うつ病と業務起因性

平成25年3月13日、とある銀行にて、先日セミナーを行いました。

今までの経験から話をしましたが、いつもの事ながら、本当に分かってもらえているのか不安でたまりません。

質問が出たときの喜びは本当に良いものです。

セミナーに参加いただいた方々には、本当に感謝しております。

さて、本日の判例ですが、病気との業務起因性についてです。

仕事内容と仕事中の事柄を細かく確認することで、社会通念上、客観的にみてどうかを判断しています。





(事件概要)
「原因」(平成15年7月31日)→ Xは出社したものの、動悸が激しくなったことから早退して病院の受診 →「ストレス性うつ病」との診断(休職届)→ 17年8月31日付で自動退職 → 営業職のマネージャーとして勤務していたXが、Eの逆恨みによるイジメ、嫌がらせにより、過重な心理的負荷を受け精神疾患を発症 → 3期間にわたり休業に追い込まれたとして、労基署長に労災保険の休業補償給付を欠く休業期間について請求 → それぞれの期間共に不支給処分 → 違法があるとして、同処分の取り消しを求めた。(争点(1)(2))→ 業務起因性を認め、これと異なる判断を示していた行政処分を取り消した。
(原因)
亡Aの妻は、平成14年11月から保険金の支払いを申し出ていた。→ Eから回答のないまま放置(15年2月初め)→ Xは、支社長に保険金が支払われる時期について尋ねた。→ 支社長は気分を害して感情的になり、非常に強い口調で「告知義務違反があれば保険金の支払いは絶対にない。」「お前は不告知教唆したのかしてないのかどっちだ。」「裁判しても客が勝てるわけがない。」などと顔を真っ赤にして言った。→ この出来事を契機に、Xと支社長との間に軋轢、感情的対立が生じた。(平成15年2月15日付)→ 亡Aの妻は、支社長の言動への批判を含む抗議の手紙を出した。→ 保険金の支払いは、本社も死亡保険金の支給を認め、翌3月に保険金が支払われて決着
(休職届)
同年8月1日から欠勤 → 同年8月4日から同年9月28日まで第1回入院 → 同年10月24日から同年12月25日まで第2回入院(16年3月1日付)→ 休職届を提出
(争点)
(1) Xの症状が、うつ病によるものなのか適応障害によるものなのか → ICD-10、DSM-Ⅳに列挙されたエピソード等に照らして判断するのが相当 → 本件発症はICD-10、DSM-Ⅳの掲げるエピソードに合致 → ストレス性うつ病によるものと認めるのが相当
 ICD :国際疾病分類第10版
 DSM-Ⅳ :精神疾患に関するガイドライン
(2) 業務起因性の判断 → 業務と疾病との間には条件関係が存在するのみならず、相当因果関係があることが必要(業務に内在する各種の危険が現実化して労働者が疾病にかかった場合)→ 使用者に無過失の補償責任を負担させるのが相当(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)→ 精神的負荷を益々感じ、ストレスを増大させていったと認められる。→ 平均人の立場から見ても非常に強いものだったと解される。→ 社会通念上、精神的負荷は業務の遂行により発生 → 客観的にみてストレス性うつ病を発症させる程度に過重
(イ) Xは、行ってもいない不告知教唆について厳しく叱責を受けていた。→ 理不尽で到底納得できるものでない。→ 精神的負荷は、非常に強いものであったと認められる。
(ロ) 軋轢・感情的対立が生じていた → 営業成績等について、いつもより厳しい叱責を繰り返される。
(ハ) C次長からは支社へ謝りに来るよう求められたり、丁所長からも長時間にわたる叱責を受ける。
(ニ) Xの同意を得ることなくX班の分離を行い、X自身が育成したEら4名の部下を失う。→ 将来的には、Xの給料は大幅に減少する可能性が高い状況 → 非常に大きな精神的負荷を被る。
(ホ) Fから度々業績について叱責を受け、Xの精神的負荷を更に増大
 業務と疾病との間の相当因果関係の有無 :その疾病が当該業務に内在する危険が現実化したものと評価し得るか否か(a)(b)→ 職場における地位や年齢、経験等が類似する者で、通常の勤務に就くことが期待されている平均的労働者を基準として判断
(a) 当該業務自体が、社会通念上、当該精神疾患を発症または増悪させる一定程度以上の危険性を内在又は随伴している事が必要
(b) 発症前の業務内容および生活状況ならびにこれらが労働者に与える心理的負荷の有無や程度、さらには、当該労働者の基礎疾患などの身体的要因や、うつ病に親和的な性格などの個体側の要因などを具体的かつ総合的に検討
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる