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契約社員の雇止めと転籍合意

平成25年3月17日、2回目の判例です。

これから、4月1日に掛けて、契約社員の契約更新回数5回以上の問題が出てきます。

それに伴って、これまでの判例が覆される可能性はあるかもしれませんが、昨年の判例です。

転籍が認められた点については、今後にも参考になると思います。




(事件概要)
全契約社員669名(Xらを含む)を対象 → Xらは社員説明会に出席 → Y1に履歴書を提出 → Y1に対して、解雇予告通知書および誓約書に署名、押印して提出 → Y2に対して雇用契約書を提出 → 雇用契約書に署名・押印(争点)→ 訴えを却下し、その余の請求を棄却
(訴え)
ア 期間満了後の更新拒絶(雇止め)は許されないと主張
 Xらは、複数回契約更新(継続期間5年3から10か月、更新7回)、契約社員Ⅱ
イ Xらに精神的損害を与えたと主張 → 債務不履行又は不法行為に基づき、Xら各自に対し、連帯して慰謝料を支払うよう求めた。
ウ Y1に対し、各転籍合意が錯誤、詐欺または脅迫によるものであるとして、同合意を取り消す旨の通知(判決)→ 確認の利益がなく、不適法であるから、却下
(社員説明会)
Y1からY2への転籍を促す。(転籍に応じた場合)→ Y2へ履歴書を提出することで転籍に同意とみなす。(転籍に応じない場合)→ 雇止めとする。
① Y1を解雇 → Y2と期間1年とする雇用契約を締結
② 転籍後はY2からY1に派遣 → 業務内容、給与などに変更がないことを説明
(争点)
(1) 解雇に関する法理を類推適用すべき事情の有無(社員説明会)→ 正社員と契約社員Ⅱの業務内容には相違点 → 雇用継続を期待することが合理的であるとはいえない。→ 継続性のある業務とは言い難い。→ 毎年数名の契約社員を雇止め → 契約社員に対し、雇止めの可能性があることをある程度うかがわせるもの → 解雇に関する法理が類推適用されると解されない。→ 雇用更新の手続きが形式的、機械的なものになっていたという事も出来ない。→ Xらの請求は理由がない。
 労働者が契約の更新、継続を当然のこととして期待、信頼してきたという相互関係の基に雇用契約が存続、維持されてきた場合 → 期間満了後の更新拒絶について、解雇に関する法理を類推適用すべき
(2) 更新しないことを正当化する客観的で合理的な理由の有無 → 対象者の人選に不公平な点が見られない。
(3) 転籍合意の有無 → 署名押印して提出 → 撤回は認められない。
(4) 錯誤・詐欺・脅迫・重過失の有無 → 通常一般人が転籍に合意しなかったであろうと考えられるほどに重要な錯誤があったとはいえず、要素の錯誤であるとは認められない。
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