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配車減による賃金減額、割増賃金の算出


(重要文言)
労働時間の多寡が各従業員の収入の多寡に直結するという本件事情
Yが合理的な理由なく特定の従業員の業務の割り当てを減らすことによってその労働時間を削減することは、不法行為に当たる。
Xに対する配車の減少について、他の従業員に対する対応との均衡が問題であり、明らかにするための証拠が必要
慰謝料については、差額賃金が支払われることによって精神的損害も慰謝されるものと認めるのが相当
ある手当が時間外労働に対する手当として基礎賃金から除外されるか否かは、名称のいかんを問わず、実質的に判断されるべき

(経緯)
賃金月額が30万円を下らない金額となるよう仕事を与える合意があった
平成21年6月から22年6月まで :月額30万円を超えていた。
同年7月以降 :配車が減少、7月25万円、8月20万1,000円
9月以降 :20万円を下回っている。

(訴え)
① 賃金との差額
② 労基法37条所定の割増賃金を支払ってないとして47万9,075円

(労働条件)
時給制
平成21年5月から同年8月 :950円(基本額850円、無苦情・無事故手当100円)
同年8月から22年3月まで :980円(基本額880円、無苦情・無事故手当100円)
同年3月から同年9月まで :1,000円(800円、職務手当200円)
同年9月以降 :980円(784円、196円)
*職務手当は残業代を含むものとして支給

(判決)
契約書では、「Xの賃金は時給制とし、かつ、勤務時間は会社指定時間、休日は会社指定日とすることが定められており、一定の月収を保証する趣旨の規定もない」
「YがXに対する配車を減らした結果、Xの月収が30万円を下回ったとしても、そのことが債務不履行に当たるということはできない」

不法行為の成否
以下イ)からハ)の通り、不法行為に当たると認めるのが相当

イ) A1営業所全体の業務量の減少
他の業務の所管をB1からA1に移す余地があった。
従業員2名がB1に配転されていると指摘して、「A1営業所に所属するバス運転手1日ン当たりの平均の労働時間が減少したということもできない」

ロ) Xの勤務態度
Dから契約を打ち切られることを回避するために、YがXにDバスを配車しないようにしたことには合理的な理由がある。
A) Xに注意指導を行っている。
B) 改善の姿勢に乏しい。
C) D社から「最近、運転が荒いとのお声を多数お寄せいただいており、このままではリスク案件にもつながってしまう恐れがある」とのメールを受け取っている。

ハ) 他の従業員との均衡
明らかにするための証拠を提出していない。
Xに対する配車の減少は、他の運転手に対する対応との均衡を欠いていたものと認めるのが相当

割増賃金を算出するための基礎賃金の算定
バス運転手に支給される無苦情・無事故手当および職務手当は、時間外労働の対価としての実質を有しないものと認めるのが相当
(ア) 実際に時間外労働を行ったか否かにかかわらず支給される。
(イ) バス乗務を行った場合にのみ支給され、側乗業務、下車勤務を行った場合には支払われない。
(ウ) 専門的な職務に従事することの対価として支給される手当
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